御在所岳クライミング(個人山行)


松林

2017年4月29日(土)~5月1日(月)
松林、川本
<アルバム>
<行動記録>
 青年部2人、丸2日で宮崎の比叡山へ行く予定だったが、29日に松林に急用が出来たために山行の行程を短縮し、川本くんが「行きたい」と言っていた御在所岳へ行き先を変更した。
 29日の午後に広島を出発し、信楽ICで高速道路を降り、甲賀で食料調達、適地にて宿泊。早朝にR477で峠越えをして裏道登山道入口の橋のそばに駐車。裏道登山道に入る。林道を進むと、巨大な格子状の砂防堰堤が現れる。水がちょろちょろと流れる堰堤の端を潜り、木の橋を渡って左岸側の山手を進み、また橋を渡って右岸側を進むと、藤内小屋に到着。ここで「中尾根の一の壁側からのアプローチ道が崩壊しているので、他のルートから取付きへ行くべし」という情報を入れる。再出発すると、御在所岳特有のゴーロが見え始め、7年前にこの光景に見入ったことを思い出す。
 視線を上方に移すと北谷の左側に藤内壁が見える。これから登る、前尾根、中尾根に期待しながら登山道を進む。左岸側に渡って山手の道を進み、藤内壁出合と書かれた道標の場所から北谷を渡渉する。藤内沢は露岩やゴーロでゴツゴツしているが、水が少なく好きなように登れる。ルート図を何度も見て、“テスト岩探し”をしていると、それらしき岩が見え、その右上に写真で見たP7下部の岩場が見えた。
 他に先客はおらず最初は我々のみだったが、準備をしていると、中年の男女パーティー、大勢の年輩者のパーティーが登ってきた。川本リードで中央のクラックを登り始める。クラックから右上して木の脇を左上する。15mくらいしか登っていないが、終了点があるのでピッチを切ったようだ。セカンドの松林が登り、トップを交代して尾根上のルートにロープを延ばす。こちらもまた15mくらいで終了点があったのでピッチを切るが、後続の男女パーティーのトップが「50mロープなら1ピッチで立木まで行けますよ」と横を追い越して行った。男女パーティーのセカンドにも追い越してもらい、後を追うように進む。P6では男女パーティーはノーマルルートのチムニーを登っていたが、つっかえているようなので、左のリッジルートを使って登る。川本くんを上げて、適当にロープを束ねてP5の岩場へ進む。男女パーティーが追い付いて来たので先に登ってもらい、Ⅰ~Ⅱ級でみやすくはあるが、我々もロープを出して登る。
 P4は少し右手に下ってから、藤内沢側のルートを登るため、左上してテラスに出る。テラスから川本リードで登る。「なめらかなスラブとクラックで前尾根でも難しいピッチ」と本にはあるが、さほどでもない。それでも終了点手前でトラバース気味に岩稜を巻いて登る箇所では高度感があってスリリングだ。左下に目線をやると、中尾根のP3を登るパーティーが見え、かなり時間が掛かっているのが分かる。なかなか厳しそうだ。
 前尾根P3の基部に出ると、P3のピーク、P2が良く見える。P3を2ピッチに分けて登り、ヤグラのコルを過ぎてP2へ。P2はヤグラと呼ばれるとおり、岩を積み重ねた見張り場のようだ。男女パーティーがラッペルするのを待って松林リードで登る。ピーク1段下の終了点でピッチを切り、川本くんが登って来たらラッペル。時間が押していたら山頂方面へ進もうと考えていたが、まだ時間があるので中尾根を登ることにする。
ヤグラのコルで水分、食料を補給し、藤内沢へ繋がるヤグラ沢を下ろうとするが、笹藪が激しく、踏み跡も見つけられないので引き返して北谷側へ下ることにする。北谷側への下りは高度差が大きく木も無いので怖く感じられるが、踏み跡を辿って一気に下れた。
 裏道登山道に復帰し、10分ほど下ると再び藤内沢出合。今度は中尾根を登るため、藤内沢をさらに遡る。藤内滝の手前に雪渓が残っていて驚く。「藤内壁概念図」には藤内滝の手前を右岸側へ渡渉して渡って斜面を登るように書いてあるが、谷が深過ぎてそんなルートは有り得ず、1ルンゼを少し登ると、藤内沢の右岸側をトラバース気味に登る踏み跡を見つけ、そこを登る。概念図には、2ルンゼを横切って、戻る方向で中尾根取付きに出るように書かれているが、ルンゼを横切ったような感覚も無く、突然と壁の下のテラスに着く。偶然、「翌日、中尾根を登るために偵察をしている」という豊橋のパーティーがいて、そこが中尾根P4の取付きと判明する。豊橋のパーティーは、一部崩壊の、一の壁側のアプローチ道から来たらしい。
 豊橋のパーティーとあれこれ話して時間が過ぎてしまったが、川本リードで登り始める。壁は立っており、上部は岩が被っていて、ビレイヤーでも怖さを感じる。ルートは短いが、途中で切り、フォローで登る。良い場所にガバがあるので登れるが、下を見ると、やはり垂壁で恐ろしい。2ピッチ目を少し登ると、ピーク直下の段差部に出て(ここで切らなくても良かったのだが)、トップを交代して2メートルの段差を越える。豊橋のパーティーが上で待っていて、ここをラッペルで降りるようだ。ちなみに、P4取付きとP3取付きの間は巻き道を使って移動可能らしい。
 P4からクライムダウンでP3との鞍部、取付きまで下り、再び川本リードで登る。クラックを登って行くと、徐々に幅が広がってチムニーとなる。念押しでカムを2セット。ナッツもぶら下げていて、狭いチムニーでは苦しそうだ。そしてそれらのカム、ナッツもいろいろ試すので時間が掛かる。やはり、このP3で今日は終了だ。途中でピッチを切って松林も登る。当然セカンドのほうが速く登れ、取り分けてムーブが難しい、という訳でもないが、腕力で体を持ち上げるような場所が1~2箇所あり、腕がパンプしそうだった。また“短い2ピッチ目”を登り、裏側の支点でラッペルのセットをする。1度、テラスに川本が降りて、1ルンゼ右俣に支点があることを確認して、さらに降りる。さらにもう1ピッチ分ラッペルをして、歩き難い露岩帯を通過した。
 ロープを片付け、一の壁へのトラバース道を進むと、一の壁の下に豊橋のパーティーがまだいて、「これで無事に下山ができる」と安心する。中尾根のアプローチ道と比べると比較的歩きやすいアプローチ道で藤内沢まで下り、北谷を渡渉、裏道登山道で藤内小屋へ。小屋からヘッ電下山で終了とした。
 次の日の午前中まで動ける可能性はあったが、花粉による(?)ひどい声枯れ、リスク回避のため、翌朝広島へと戻った。他の合宿メンバーに心配をかけたこと、結果的に御在所岳で発症した声枯れがなかなか治らなかったことが反省点である。
 全部登れなくて残念だった川本くんのために、またいつか企画せねば。と思うのだが、中尾根を登るにはもっと登攀力が欲しいところである。
<コースタイム>
5:10 R477裏登山道入口→5:50藤内小屋6:10→6:30藤内沢出合→6:40前尾根取付→7:10登攀開始→11:35 P2 登攀・下降終了
→12:10ヤグラ沢偵察へ→12:25ヤグラのコルに復帰→12:50裏登山道→13:00藤内沢出合
→13:45中尾根P4取付→14:25 P4登攀開始→17:10 P3→18:15一の壁下部→18:35藤内沢出合→18:50藤内小屋19:00→19:20 R477裏登山道入口
(記:)松林