岩倉沢左俣・狗吠峡、七分三分沢 沢登り


松林

2020年6月20日(土)~21日(日) 係:松林
参加者:吉村、元廣、上田、西村、田中(剛)、堀田

<行動記録>
新型コロナウイルス感染症に関する都道府県を跨ぐ移動自粛制限が解除され、中国地方では観光活動の振興、とのことで久々の県外山行が実現できた。山行直前の木曜日には現地周辺で100~120mm程度の大雨が降ったが、山行当日は天候に恵まれた。
徳山東ICで山陽道を下りて徳地経由で山口市仁保へ入り、岩倉沢林道途中にある作業小屋前の広地に駐車。遡行歴のある上田さんの案内で入渓する。
先述の雨で水量が多く、水圧に押されて登るのが難しい小滝もある。40分程度進むと5mのF4が現れ、水量が多いので諦めて右岸側の木が疎らな草付きをロープを出して登り、続く10mのF5(車巻の滝)もロープを延ばして草付きを続けて登り、立ち木にロープを固定する。水の音で声が通り難く足元も悪いので、通過に時間が掛かった。上田、田中はF4を水圧に抗って登り、続くF5では側壁を確保ロープで登った。その後も疎らに現れる小滝を突破し、8mのF9をロープ確保で登る。良い時間になり水量も細くなってきたので遡行を止めて沢沿いの作業道を下る。
駐車地近くに快適な宿泊地を見つけ、ロープに沢装備を干して薪を集め、キャンプファイアを囲んで吉村さんの用意していただいた猪肉やアサリうどんをご馳走になった。沢では蛍が飛び交い、心地よいキャンプとなった。

21日は岩倉沢に程近い狗吠(いんなき)峡の登山口に移動する。沢のガイド本では「狗吠」だが、地形図では「狗鳴」、観光情報サイトでは「犬鳴」、と読みやすくしてある。
観光地化した遊歩道の脇から入渓し、小滝を越えて進む。右手より黒い岩肌が被っているところが鉱脈試掘後で、このすぐ先に潜竜洞とF5の大滝が控え、谷が狭まり薄暗くなる。大滝は遡行資料には20mと書いてあるが、水量増加による恐怖感も加えて、より高く感じる(約25mという情報もあり)。
50mロープを使い、上田さんリードで右岸側の木が疎らな草付きを登る。滝上まで抜けてロープをフィックスし、セカンドの西村さんの番で中間支点をフィックスして2人同時登攀体制を取る。前日と同様に足元が悪く、何歩か登って手を伸ばすと灌木や太い木に手が届き、何とか登れる草付きだった。上部で滝の落ち口を横断するようなルート取りだったので、吉村さんより指導が入った。
2条のF8夫婦滝は、釜に入ってのシャワークライミングが辛いので、釜の右岸側の縁をワンポイント確保で通過した(上田さんのみシャワークライミングだった)。小滝の連続するF12の曲水の滝を過ぎると平凡な河原となり、遡行を終了して登山道を下る。

駐車場に戻り、車のシートが汚れないように乗車して南東へ向かい、七分三分沢へ移動する。七分三分沢は地形図には東川と書いてあるが、沢のガイド本の著者が、途中の二俣で水量を7対3程度と見て「七分三分沢」と名付けた、沢ヤ向けの通称である。今回遡行するのは右俣の通称「七分沢」である。
中国道の高架下付近に駐車して右岸側の林道を進み、左手からの支沢沿いに本流に下ると綺麗な滑床が現れる。少し進むと大堰堤で、ガイド本には「(恐らくは下方の)水路を潜り抜けられる」と書いてあるが、背の届かない上部の水路から水が落ちている。堰堤を巻いて沢に戻ると堰堤の先が沼になっており、歩くと足が土砂に埋まり、濁った水が腰下まで達する。本が発行されて20年近くで4~5m近くの土砂が堆積したことになるが、これが半分くらいだったら汚い沼を泳ぐ羽目になっていたかもしれない。
左から入る三分沢を分けてまた少し進むと別の(ガイド本に無い)堰堤が現れ、仕方なく右岸側から巻こうとすると林道に出る。堰堤を造るために林道が延びており、また次の堰堤が造られる予感がする。
林道終点より再入渓し、少し進むと3mのF5が出てきてトップ以外はお助け紐で登る。更に20分程度進むと「重石」という四角い石積棟のような岩と長さ70mの斜度の緩い滑滝が現れる。「重石」には角付近のクラック沿いとフェースの2ルートに支点が打たれており、右岸側の登山道からアプローチ道でアクセスできるようになっている。滑滝は、普段は水がチョロチョロのはずだが、先述の大雨でまた違った様相を呈している。下部は各自フリーで通過し、上部は上田さんリードで脇のブッシュに支点を取りながら上まで抜ける。振り返ると低い山越しに山口市の中心部が見える。更に10分程度進んだところで見どころが無くなってきたので、出渓して右岸側の登山道を30分ほど下って下山した。

<コースタイム>
6月20日 11:55 岩倉峡駐車地 → 12:10入渓 → 12:55 F4,F5 14:05 → 15:20 F9 15:35 → 15:45 出渓 → 16:50 駐車地
6月21日 7:25 狗吠峡駐車場 → 7:30 狗吠峡入渓 → 8:00 狗吠大滝 9:10 → 9:40 出渓 → 10:10 狗吠峡駐車場10:30 → 10:40 中国道付近駐車地 11:00 → 11:10 七分三分沢(東川)入渓 → 11:30 林道終点より再入渓 → F5 11:35 → 11:55 重石、滑滝 12:45 → 12:55 出渓 → 13:30 駐車地

文:松林

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