奥秩父 笛吹川東沢・鶏冠谷左俣遡行


宮本博夫

日程:2007年6月2日~3日
参加者:菅野、宮本、吉田(会員外)

今回行き先は前回の鶏冠谷(とさかたに)右俣に引き続き、その左俣とした。昨年秋に登ったばかりなので、趣向を変えたい気持ちもあったが、今回は泊り山行経験の少ない吉田君参加のため比較的易しい沢、また石楠花の時期なので花が期待できるルートとして、鶏冠谷左俣を遡行し、鶏冠尾根を下降するコースにした。

6月2日朝7時半過ぎに相模湖駅で待合わせ、西沢渓谷登山口は10時過ぎの出発、天候は晴れ。
西沢渓谷遊歩道~東沢入谷~鶏冠谷出合い~魚止滝~3段の美しい滑滝~逆くの字滝~二俣までは前回と同じ。鶏冠谷核心の逆くの字滝は、今回は菅野さんにリードしていただいた。
二俣から左俣に進む。右俣(本流)と比べると水量が減って地形も急峻となり、如何にも支流といった渓相。左俣にはさらに一の谷~四の谷の支流が流入するが、一の谷のスラブがちょっと見栄えがするくらい。スラブと言っても以前登った東の滑沢や西の滑沢の広大なスラブに比べれば、かなり小粒なものである。左俣のほうが評価が高いガイドブックもあるが、我々は右俣のほうが断然よい遡行内容だったと感じた。
夕方になって、泊り場を探しながら歩くが、全然ない。18時を過ぎた頃、適地が見つからないのであきらめて、三の谷~四の谷出合い間の狭い砂利地を整地して、各人がごろ寝をすることにした。斜面の下で落石が心配だったが、もう、仕方がなかった。右俣ではとても寝心地のよいビバークサイトが得られたのに対して、えらい差だった。
焚き火用に集めた木はどれも湿った感じだったが、何故かとてもよく燃えて、盛大な焚き火となったのがせめてもの救いだった。朝までしっかりオキが残り、朝食時も暖をとれた。

6月3日、天候晴れ。出発してまもなく源流の様相となり、鶏冠尾根目指して沢筋を忠実に詰めていく。最後に強靭な石楠花の枝の中をくぐっていくと尾根に出た。ここからは美しい石楠花の花を楽しみながら鶏冠尾根を下る。下るといっても鶏冠尾根はアップダウンを繰り返して2100mくらいから全然高度が下がらない。最後に東沢本流に向けて一気に高度を下げることになる。
鶏冠尾根にはしっかりと踏跡は付いているが一般ルートではなく(登山地図には点線なし)、降りるのにも結構時間がかかるのだが、これを下から登ってくる人に何人か出会い、感心してしまった。登山者の一人と話しを交わしたおかげで、今回、鶏冠山の頂上に立つことが出来た。メインルートは頂上部岩峰を迂回して付いており、4年前(東の滑沢遡行後)に通った時は気付かずに迂回して、鶏冠山を素通りしていた。鶏冠山の頂上は非常に素晴らしい眺望で、鶏冠尾根自体のやせ尾根と岩峰群はもちろん、東沢の全流域、大スラブを有する各支流を一望することが出来た。
頂上からそのまま尾根に沿って下ろうとしたら、だんだん険しい岩場になってきて、しまいには絶壁になってしまう。「ああ、しまった、戻って迂回しないといけないのか」と思ったら、ちゃんと懸垂下降用のボルトが打ってある。15mの本格懸垂となった(オーバーだが、こんなことになると思わなかったので)。
なかなか高度の落ちない鶏冠尾根も最後は一気に谷底まで急降下。隣りの戸渡尾根はノーマルに一定に高度を下げていくのに対して、全く対照的である。鶏冠尾根はその名の通り、鶏のトサカのようなやせた岩尾根になっている。印象が深かったので、遡行文よりこっちの方が長くなってしまった。
下山後の帰り道はいつも中央道の大渋滞が避けられない。20km以上の渋滞に耐えられずに下道に下りたが、案の定、下道も全く動かないところがあり、当初降りる予定だったインターまで2時間かかってしまい、高速のままで我慢した方がマシだったようだ。

<コースタイム>
6月2日;西沢渓谷登山口出発(10:00)~鶏冠谷入渓~二俣(14:50)~四の沢下ビバーク地(18:10)
6月3日;出発(7:50)~鶏冠尾根着(9:40)~鶏冠山(11:40)~鶏冠谷出合下(15:50)~登山口帰着(17:10)

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