奥秩父 丹波川・小常木谷遡行(個人山行)


宮本博夫

日程:2008年6月7日~8日
参加者:菅野、宮本
←写真:ネジレノ滝

今回の行き先は滝登りが楽しめて人気の高い小常木谷(こつねぎだに)。2002年に行った大常木谷の隣の谷。多摩川源流のひとつなので、ここは奥秩父ではなく、奥多摩なのかも。

6月7日朝7時半に相模湖駅で待合わせ、くねくね山道を1時間半も走って、入谷地点の丹波川余慶橋に着く。関東地方は先週から早々と入梅したが今日は晴れており、関東支部?雨男組としてはまずまずの沢登りシーズンスタートを切った。
入谷は山道をしばらくたどるか、丹波川を渡渉して小常木谷出合から入るか。後者を選び、丹波川には崖にFIXされたトラロープにぶら下がって降りる。連日の雨のせいで結構な水量。二人でタッグを組んで渡渉するが、すごい水勢で何度かバランスを崩された。無事渡りきったからよかったもののギリギリの渡渉だった。(安易な渡渉は慎みましょう)
小常木谷は出合いから暫くは両岸高く切り立った深いゴルジュ(滑瀞谷)が続くが、中は埋まっていて平凡に通過する。ゴルジュを出ると小常木谷同じくらいの流域規模を持つ火打石谷が出合う。こちらは初心者向け、小常木は滝登り中心の中級向け、ということだ。
しばらくは小滝、滑床が続くが、縞模様の岩床(秩父古生層って、これ?)が美しい。淵や釜の水の色は岩床の色に左右されるが、ここは青や緑ではなく黒に近い。
やがて、兆子ノ滝(10m)が現れ、ここで昼食とする。兆子ノ滝から暫く続く滝場は「置草履ノ悪場」という。兆子ノ滝は左壁をザイルを付けて登る。次の樋状斜滝(8m)は釜を苦労してへつり、滝に取り付いて樋の所を開脚で登ろうとするがツルツルで難しい。巻き道から先に上に上がっていた菅野さんにザイルを垂らしてもらい、何とか登れた。不動ノ滝(12m)は登れないのでサッサと巻く。次の大滝(18m)はシャワーを少々浴びつつ登るらしいが、今日の水量ではずぶ濡れになってしまい、軟弱な我らはあきらめて巻く。2段ネジレノ滝(15m)は左側をザイルを付けて登る。一応、ここがこの谷の核心らしいが、樋状滝の方が難しかった。2段目を登り終えて菅野さんを確保していると、急にロープテンション。落ちたみたいだが様子がわからず、このまま維持するかザイルを緩めるか困ったぞ、と思っていたら、かすかにロープダウンと言っているように聞こえ緩めた。その後登ってこられて無事でよかったが、滝壺にお尻まで浸かっていたそうだ。流れの中に落ちてしまうと溺れる危険があり心配してしまった。
ネジレノ滝を登り終えたところで岩岳沢が出合い、置草履ノ悪場が終わる。そこには絶好のキャンプサイトがあって、時間も16時過ぎだったので、今日はそこに泊ることにした。朝見た天気予報では夕立があるかもと言っていたが、降られることはなく、盛大な焚き火を楽しんだのち(環境破壊?)、快適な寝床でぐっすりと眠れた。

翌6月8日。朝も焚き火で遊んでしまい、会報に書くのが恥ずかしいほど遅い時間の出発となった。今日は下り坂の天気予報で、こんな遅出ではいかんのだが・・・。さて、今日の予定はもし朝から雨が降っているようなら岩岳沢にエスケープすることを考えていた。出発の頃には何だか暗くなってきたので、本流を進むか岩岳沢か随分迷ったが、取りあえずはまだ降ってはいないので、もう少し進んで次の支流の沢から岩岳尾根に登ろう、ということにした。ガイドブックでは「置草履ノ悪場を過ぎると平凡になるので岩岳沢を詰めてもよい」などと書いてあるのだが、すぐに10m級の滝が出てきて、その後も顕著な滝が続き、全然平凡ではない。あのまま岩岳沢を登ったら、もったいないことになるところだった。
2時間登ったところでナメ沢が出合い、ここを詰める。名の通りほぼナメ状で小滝も多くなかなかよい。何度か沢が分かれるが、登り易そうなほうを登っていく。やがて笹の藪漕ぎ突入。これが猛烈に濃い笹薮で、10年ぶりくらいの苦行を味わった。お昼過ぎにやっとのことで岩岳尾根に出た。支流の沢を登って近道をしよう、と思った訳だが、「急がば回れ」で忠実に本流を詰めた方が楽だったのかもしれない。
「岩岳尾根を下って2時間で余慶橋に戻れる」とガイドブックには書いてあり、その参考コースタイムは異常に早過ぎて、いつも当てにはしていないが、今回は下山に4時間もかかった。最後は前述の山道を伝って余慶橋に戻るが、滑瀞谷ゴルジュ帯迂回のためかほとんど一山登らされてしまい、その苦労と比べると入谷の際のスリリングな渡渉もやむを得ないと思った。天気の方は良いほうに予報が外れたようで、結局雨に濡れることはなく山行を終えられた。それと、奥秩父に来るといつも帰りの中央道の渋滞にうんざりするが、今日は高速から離れた道であったため、帰り道はスムースで助かった。

<コースタイム>
6月7日;丹波川余慶橋出発(10:00)~置草履ノ悪場入り口・銚子滝(12:20)~二段ねじれ滝下(15:00)~岩岳沢出合ビバーク地(16:20)
6月8日;出発(8:00)~ナメ沢出合(10:00)~岩岳尾根登山道(12:20)~余慶橋登山口帰着(16:40)

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