天狗石山と蜂窩織炎


吉岡 好英

6月11日(土)、西風新都で同行者二人を乗せて天狗石山登山口へ。天狗石山荘のオーナーはまだ来ていないが、いつ来るか分からないので軒下で準備にかかる。雨は降っていないが藪で濡れるだろうと雨具(ズボンのみ)を着けて9時36分、佐々木新道から登山開始。予想通り伐採地の登山道は藪で覆われ濡れており、登山道もぬかるんでいる。小さな沢を渡ると藪はなくなり歩きやすくなる。乳母御前峠で小休止して積雪期は山スキーを楽しむブナ林の中の登山道を登って行く。やがて大きな岩が見えると、その岩を巻くようにして頂上へ。展望台下のオオヤマレンゲはすでに枯れ気味。雨に降られるのは嫌なので早々に下山開始。往路の藪は歩きたくないのでキナイ原に上がっている林道を歩くことにする。林道傍の木には白い花が咲き誇っている。長い林道を下り12時20分、天狗石山荘に返るが誰も来ていない。仕方なく帰路について、「どんぐり村」でソバを食べて西風新都駐車場へ帰る。後で聞いたら16時頃、山荘に入ったらしい。二人と別れR.191経由で恐羅漢へ向かう。坪野で道路脇の斜面が崩れ、車2台が被害を受けている。幸いにもけが人はいなかったが、少し早いと被害者になっていたかも。現場は見ているときも崩れが続いていた。何とか現場は通り抜けたが、直後から通行止めとなった。
翌朝、ゆっくり起きて朝食を食べているとき、会員外の二人が手伝いにやって来た。草刈りを始めるが刈払機の調子が悪く、途中で中止とする。床のワックス掛けやデッキ階段の防腐塗料を塗って昼過ぎに解散。「牛小屋高原ヒュッテ」看板も痛んできているので、取り外して持ち帰る。帰りに石田さん宅に寄って、汚れた看板を磨いていただくために預ける。
家に帰った頃から右足首あたりに違和感。少し赤く腫れておりブヨに噛まれたものと思っていたが、痛みは強くなるばかり。それでも朝には治まるものと思い床につく。深夜には今まで経験したことのない激痛が走りだした。我慢してそのまま朝を迎えるが痛みは一向に治まらない。立ち上がるのも容易ではない。何とか朝食を済ませ仕事へ行く。昼までそのまま仕事をして昼食。午後、熱を計ると38度超え。夕方、GPSの件でYクリニックへ行くことにしていたが、14時頃、待合室で待っていると「どうしたん?中に入りんさい」で診察室へ。「ちょっと熱が出たけど、このせい?」と赤く腫れた部分を見てもらうと「大変ですよ、これは蜂窩織炎です」と言われる。「蜂窩織炎?天狗石山へ行ったけど、最善の注意を払って雨具まで着ていたので、虫に刺されたり棘が刺さったりしてしなかったけど」、「この細菌は毛穴や汗腺から入るので、どうしようもない」「点滴で治まるので点滴を」で点滴1本打って帰る。翌日、点滴のためクリニックで診察すると、状況はさらに悪化。「点滴を打つ間にH総合病院の紹介状を書くので帰りに病院へ行ってください」「明日でもいい?」「すぐに病院へ行くように」と言われたが、いったん仕事場へ返り、「今から病院へ行くけど入院かも」と言って病院へ。皮膚科で診察してもらうと「すぐに入院してください」「何も準備していないので帰りたいのですが」「ダメです。とりあえず入院して、それから外出許可を出すので、支度が済んだらすぐに病院へ帰るように」・・・・
家に帰り、部屋を歩いているとズボン裾に何か入っている感じがするので、裾をまくってみるが何もない。さらに歩くと何かおかしい。腫れている患部を上下に動かすと皮膚の下でカマボコ板のようなものが動くのが分かる。これはただ事ではないとネットで「蜂窩織炎」を検索すると詳しく書かれていた。腫れ→皮膚の下が蜂の巣状になる→膿が溜まる→組織が壊れる→壊死、ここまで来ると切断? また血管に損傷があった場合は膿が血管内を流れ心臓に。こうなると心筋梗塞?の可能性も。「点滴治療で一週間もすれば退院できますよ」と説明があったが、入院して点滴(抗生物質)による治療がはじまるが、一週間を過ぎても症状は回復しない。抗生物質を替えてみるが変化はみられない。足はパンパンに腫れあがって昼間はそうでもなかったが、夕方から徐々に痛みが増して熱も上がっていく。深夜は激痛と高熱(39.5度)がでる。入院して10日目くらいに「患部に針を刺してみます」といって針を刺すと膿が噴き出してきた。「この針の穴では小さすぎるので4mmの穴を開けさせてください」と言ってパンチ?で穴を開けると、ドバっと出てきた。担当医も患部を思いっきり搾りながら「すごい量です。まだ出てきますよ」と言いつつ搾り続ける。一通り搾ると、その穴から生理食塩水を注入しては搾りだすことを繰り返す。翌日もこれを繰り返す。初日は何も言われなかったが、3日目に搾った時、看護師と話しているが「これは何かね?」「骨みたいですね。」と話している。「吉岡さん、これは骨みたいですよ」と見せてくれた。「なんで骨が出る?」「よく分かりません」その白いものはスイカの種くらいの大きさであった。翌日の回診の際、「よく分からないことがあるので整形外科にも診てもらいます」で整形外科の診療も加わった。整形外科は「骨の側面に石灰化?したものがあるので手術をして取り除かないと」と言っていたが、当面は様子を見ることになり、皮膚科と整形外科で診療、患部の治療(搾る)を繰り返して一ヶ月ぶりに退院する。まだ膿は止まらないので通院治療となる。これから先、どうなることやら。しばらく山歩きはできそうにありません。ちなみに「蜂窩織炎:ほうかしきえん」は黄色ブドウ球菌などの細菌が入り込んで皮膚の深いところから化膿してしまう感染症です。毛穴や汗腺などからも入り込むので防ぎようがありません。主に下肢、腕、目の下に症状が出ることが多いようです。女子はもう一カ所、「花を摘む」ときは要注意ですよ!
出てきた骨片、欲しいと言ったら「何をする?」「自分で散骨を」呆れていましたが、膿を洗い流して集めてくれました。自分で生前散骨(納骨)したら長生きするかも。近場では7月24日、残念ながら、まだ登山は出来ないので仲間にお願いして済ませてもらいました。「實ちゃん、歩けるようになったら恒さんを連れて槍沢へ行くよ。一人では寂しいじゃろー?」 
参加者の手を借りて草刈り、ヒュッテ看板(キレイにしたもの)取り付け、ログ(2面)の塗料塗りをやっておきました。