大山(烏ヶ山南西尾根)


三谷

月日:2月27日~28日
参加者:吉村(光)、川本

<行動記録>
今シーズンの週末は、悪天候となるサイクルにはまっている。しかも今週は雪が降り続いていた。今回も雪崩の危険から北壁を敬遠して、登れる確率の高い烏ヶ山の南西尾根にした。スキー場を利用して時間を短縮でき、南峰直下の核心部以外は尾根を辿ればよい。豊かなブナ林と樹氷、発達した雪庇を眺めながら手軽に雪稜を楽しめるルートである。
土曜日の昼過ぎ、雨の中、広島を出発する。日が暮れる頃、奥大山のスキー場に到着した。参加者は3名なので、車中泊とした。吉村さんが準備してくださった食事を腹一杯いただいた。
朝6時、まだ薄暗い中、駐車場を出発する。雨はすっかりあがった。営業前のスキー場に圧雪車が作業していた。穴を空けないようにスキー場の端を登っていく。最近のものと思われるアイゼンの跡がいくつか残されていた。傾斜が緩やかな初級コースから左側の上級コースに沿って登っていく。
さほど気温は下がっていない。薄曇りだが、天気は良さそうだ。
リフトの終点でワカンを装着し尾根に入る。下は雨だったが、尾根上はうっすらと雪が積もっている。木の枝には樹氷が付いていた。しまった雪に、トレースを利用してすんなり取り付きに到着した。
南峰の岩壁の基部で、登攀の準備をする。新雪が積もって状態が悪そうなので、ロープを出すことにした。いかにも雪崩れそうな雪壁にトレースが付いていた。左の尾根を登った(あるいは下った)ようだ。
係がロープを伸ばし、吉村さんが確保、川本くんがフォローした。登攀開始10時。いつものように右端のリッジを目指してブッシュに突入する。久しぶりにピッケル・バイルを振り回して楽しい。いや、必死であった。兎に角、足下が不安定である。岩のバンドがある草付き帯が微妙であったが、アイゼンがよく効く。
やっとの事で尾根に這い上がるが、今度は見渡す限りブッシュである。急斜面の藪漕ぎ・木登りとラッセルを交互に繰り返す。不安定な雪に、できればトラバースは避けたい。ビレー点となる灌木目指して、藪の正面から突破する。ピッチを切るとすぐに後続の確保体勢に入る。気温も体温も急上昇、体力を消耗する。左の雪の斜面を見ると、小規模な湿雪雪崩が起きていた。
休み休みで時間を消費する。頂上直下でお昼になってしまった。最後は森林限界となり、スッキリとした雪壁になっているはずだ。しかし今日は、雪が腐って膝まで埋まり、時々雪の塊が落ちてくる。登攀中は避けられないので、余り気持ちの良いものではない。
4ピッチほどロープを伸ばして南峰に到着。登攀終了13時。快適な登攀にはほど遠く、疲労感だけが残った。しかし、久しぶりの奮闘で頭はスッキリした。
一段下がったところにあるキャラボクの幹を支点に懸垂下降の準備を進める。困難な藪を漕ぎながらの下降になりそうだ。川本くんはすでに懸垂下降の練習をしたことがあると言う。しかし、本番は初めてなので、念入りにチェックする。
支点となる灌木は限られており、50mいっぱい下降という訳にいかない。ピッチが長いとロープの回収も難しくなる。ロープや登攀具あらゆるものが枝に絡まり、時間がかかる。最後はかぶり気味の岩のバンドを下降して、取り付きに無事たどり着いた。気が付けば、3時間もかかっていた。
時間的には余裕のある山行と思ったが、南斜面特有のコンディションで11時間行動となった。営業終了間近のスキー場を下る。17時半、駐車場着。