大山(槍ヶ峰途中まで)


三谷

3月29日(土)~30日(日) (係)三谷
参加者:神庭、平本、兼森、保見

<行動記録>
今回の大山は、文殊越から槍ヶ峰に伸びる尾根に取り付く計画にしていた。雪山シーズン最後の大山である。
過去一度、同時期に大前さんたちとトレースしたことがある。残雪期に臨めば、さほど困難さはないが、雪の付き方次第で、状況は変わってくる。この時季にしては積雪量が多いことが気になるところだ。
3/29
朝8時広島を出発し、お昼に奥大山のスキー場に到着した。まだ雪はたっぷりあるが、今シーズンの営業はすでに終了しており、あたりは閑散としている。この雪の斜面をそのままにしておくのはもったいない。
鍵掛峠までは除雪が完了しており、ゲートが開放されている。鍵掛峠の駐車場から、保見さんと私は双眼鏡で明日登るルートを確認する。平本さんはカメラで撮影、兼森さんは地図を確認しながら山座を同定している。
南壁は黒い部分が増えているが、主稜線を始め、白い部分もかなり残っている。尾根上にもまだ雪が付いており、問題なさそうだ。しかし、キリン峠からの分岐点直下では、雪が付いておらず、崩壊面があらわになっている。
次に、健康の森の駐車場に移動し、文殊越に向けて偵察に出かける。スキーのパーティーが同時に入っていった。彼らは斜面を登り、一気に滑り下りて早々に引き上げていった。
雪はしまっているが、坪足では埋もれるため、ワカンを装着する。

先ほどは青空が見えていたが、早くもどんよりとした曇り空となり、心なしか冷たいものが落ちてくる。
積雪期、文殊越に向かうには、鳥越ルートと方角が外れるため、わかりにくい。しかし、各自が地図と地形(尾根、谷の位置)を確認し、ジャスト標識のところに出てきた。
文殊越からは、ピラミダルな槍ヶ峰の前衛峰と主峰が一望できる。黒々とした烏ヶ山も聳える。再度、双眼鏡で確認したところ、やはりポイントになるのは崩壊した箇所とその先のナイフリッジになると考えた。それぞれに写真を収めて下山する。
帰りは兼森さんの希望により、文殊越から鍵掛峠に続く尾根を下山することにした。傾斜もほどほどで、割とすっきりとした尾根である。尾根上には境界を示す杭が打たれている。
左には烏ヶ山、右には南壁、眼下にはビロードのようなブナ林。すばらしい景観である。
下方に環状道路が見えているが、なかなか近づかない。左側の健康の森へ下りたい衝動を押さえながら尾根をたどると、鍵掛峠に出てきた。最後は道路の側壁をクライムダウンして終了である。
夜から雨の予報なので、奥大山スキー場の中にある東屋にテントを張らせてもらった。17時頃、神庭くんが遭対関連の仕事を終えて合流した。

3/30
予報通り、雨である。昨夜は盛り上がりすぎて、いささか寝不足である。
こんなに天気の悪い日に登る理由を考えてみたが、思いつかなかった。カッパを着て健康の森に移動する。
消えかかった昨日のトレースをたどる。もちろん、他に登山者などはいない。雨は降るものの、ブナ林の中はわりと穏やかだ。
文殊越で小休止する。風対策に防寒着を着込む。尾根上部の視界はほとんどない。このような状況なので、稜線に出ることは考えていないが、キリン峠からの尾根の合流点あたりまで行ってみることにする。
保見さんトップで続く尾根を登り始める。尾根上に出ると、状況は一変する。西からの強い風と大粒の雨が頬をたたきつける。少し立ち止まっただけで、体の芯まで冷え切ってくる。
なだらかな稜線から急登にさしかかったところで、アイゼンを装着する。ブッシュや東に張り出した雪庇のクレバスを避けながら登る。
風雨は強まるばかり。ブナ林から低木帯になり、雪の間から大山キャラボクがのぞいている。
これより崩壊したエリアに入っていく。東斜面はガレに不安定な雪が付いている。西斜面はすっぱりと切れ落ちている。
これから気温はさらに下がる予報だ。風が強く、冷たい雨で体の冷えも気になることから、神庭くんと相談して引き返すことにする。
この先、槍ヶ峰までは悪場が続くため、この天気で進む利点はないと考えた。
往路を下ったのではおもしろくないと、文殊堂方面に下ることにした。最後は尾根が広くなだらかな斜面に吸収される。
ブナやミズナラの巨木が立ち並ぶ天然林を下りていく。両岸が急な尾根の斜面に面したすり鉢状となるため、厳冬期にはお薦めできないが、雰囲気の良い森である。ブナ、ミズナラの巨木、千手観音のようなブナ、木の実をついばむ小鳥の群れ、霧がかかった森は幻想的で、セラピー効果を十分に発揮していた。
環状道路に突き当たり、文珠堂の登山口の近くに出てきた。最後は道路を歩いて駐車場に戻る。桝水までの道路は、4月から全通するそうだが、雪の壁ができており、所々山の斜面からも雪崩が起きている状況だ。特に雨の日の通行は危険である。
天候の変化が予報よりも遅れている模様で、下山後、さらに雨脚が強まっている。これ以上冷たい雨にさらされると、低体温症の恐れがあっただろう。早めに撤退を判断してよかった。
積雪シーズン最後の大山だった。ふだん歩かないコースをじっくりと探索できて良い勉強になった。まだまだ私たちの知らない大山がある。

<コースタイム>
3/29(土)
8:00 大町駅発→13:18 健康の森→14:17 文殊越→15:45 鍵掛峠下山→15:50 健康の森→16:00 スキー場(幕営)→24:00 就寝
3/30(日)
5:00 起床→6:45 スキー場発→7:10 健康の森→7:57 文殊越→9:10 槍主稜線樹林帯上部→9:30 文殊谷下山→9:45 鍵掛峠→9:50 健康の森着

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