大山(東尾根)


保見

2月15日(土)~16日(日)
参加者:三谷、平本、徳永、兼森、島本、松林、真栄

<山行記録>
2/15(土)
合宿以降、週末に天気が悪くなる悪循環にはまっている。
先週末も発達した南岸低気圧が関東甲信越地方に接近し、記録的な大雪をもたらした。
今週も雪である。
今回は冬山での初の係である。当然ながら無雪期と違ってリスクも高く、考えることが多い。8人という大世帯を統率できるだろうか。天気と雪の状態は良くないことはわかっている。一体何ができるだろうと考えながら奥大山スキー場に向かった。
スキー場に到着し、雪の量から東尾根を抜けるのは難しいと判断し、ピストンに計画を変更する。
リーダーとして余裕をもって行動したいという気持ちが強く、少しでも迷った時は安全な方へと最初から決めていた。
気温-5度、雪が降る中を歩き始める。先週同様、我々の前にトレースはない。
一般的に降雪中に山に入るのは危険であり、こんな時に山に入っていく物好きはいないということである。
健康の森からは雪に埋まったトレースを足で探りながら進む。ぼーっとしていると腰のあたりまで雪に埋まる。これも雪山を歩くいいトレーニングになる。
今日の予定は駒鳥小屋までだが途中で幕営することも考えながら進む。
谷合でありながらときおり強い風が吹く。
鳥越峠のコルが見えてくる。コルからの下りは雪崩に注意する必要があるだろう。このまま進んでも大丈夫だろうか。何もなければ到着することは可能だろう。しかし、もし何かあれば・・・
雪崩の危険性がない場所まで引き返して幕営することをメンバーに伝える。「えっ?」という反応。当然である。自分もリーダーでなければ「なんでここまで来て下るの?」と思ったことだろう。
時間に余裕があれば何かトラブルがあっても何とかなるが、時間がなければミスを誘発し、重大事故につながる恐れがある。自分も進みたいが仕方がない。
テントに入り、準備してきた「芋煮」を味わってもらう。思ったような行動ができずに申し訳ないがこれで許してもらいたい。

2/16(日)
事前の天気予報では晴であったが目覚めると雪が降っている。時折強い風が吹く。出発予定の6時を過ぎても空は暗い。
ヘッドランプを点けて出発する。気温は-5℃。
鳥越峠の急斜面に入る手前で弱層テストをする。表面から数センチのところに弱層がみられたが、全体的にやわらかく先週の雪と全く違う。
一週間前に比べてどう変化しているかを知ることも楽しみの一つとして来たが予想外の結果だった。
トップを行く真栄君に雪崩の走路に入らないように指示を出す。
隣の白い斜面をスノーシューの単独行者が登っている。谷合で木が生えていない斜面をである。見ている方が恐ろしい。なだれないことを祈るしかない。
鳥越峠からはキリン峠へ一旦向かう。少し上り、尾根伝いに駒鳥小屋へ下降するルートをとる。
稜線に上がると風が強くなった。しかし、今年の合宿の風に比べると何てことはない。
トラバースが必要な場所で弱層テストをする。表面から5センチ程度と30センチ程度に弱層がみられる。先ほどとは状態が異なる。肘の力で何度か強く叩くと全体が崩れる。斜面上方に警戒しながら間隔をあけて進むこととする。
尾根に出て駒鳥への下降に向けてコンパスをセットして下るがトップがコンパスが示す方向と違う方向へ降りている。大丈夫かと思っていると正しい方向へ向きを変えてほっとする。
駒鳥小屋付近に降りるが小屋がどこにあるのか分らない。地形と地図を見て少し離れた地点に埋もれた小屋を発見する。
今回の目的であった東尾根の取り付きはここからすぐのところにある。
数年前に岳連登山教室の坂本さんに連れてきていただいた思い出のルートである。真っ青の空と東壁の雪のコントラストに目を奪われたことを思い出す。あれから私の冬山が始まったといっても過言ではない。あの時は右も左も分らなかったが、こうしてリーダーとしてここに来ることができたことを先輩方に感謝したい。
東尾根の最初のピークまで登って引き返す。残念ながら風とガスで東壁を見ることはできなかった。残雪期でのリベンジを誓う。
駒鳥小屋からキリン峠へ上り返す。ここから兼森さんのペースが上がらなくなる。家庭の事情で数か月山を離れていたがここまで力が落ちるものかと驚く。
毎週山に行くだけでもかなりの体力がつくものなのだと感じた。
キリン峠からは宝珠に向けて尾根を下る。宝珠越え付近まで降りると青空が見え始めた。こんなものである。

無事に下山し、冬山でのリーダーの大変さを痛感した。今までも自分なりに考えていたつもりであったが全く次元の異なるものだった。
リスクを過大評価し、保守的な面白みの無い山行になってしまい参加者の皆さんには申し訳ないと思っている。
今回、要所でSLの三谷さんにアドバイスをいただいた。自分だけの判断で行ったものは何一つないだろう。これが自分の今の実力である。めげていてもしょうがない。
今年はあと何回大山に来れるだろう。大山の風と雪を早く自分のものにしたい。

<コースタイム>
2/15(土)
8:06 大町 → 9:27 三次 → 13:00 奥大山スキー場 → 13:54 健康の森入口 → 16:00 鳥越峠の手前引き返し点 1200m → 16:30 幕営地 1135m
2/16(日)
4:00 起床 → 6:25 出発 → 7:06 鳥越峠 → 8:11 駒鳥小屋 → 9:25 東尾根1220m引き返し点 → 9:50 駒鳥小屋 → 12:05 キリン峠 → 13:25 健康の森入口 → 13:55 奥大山スキー場

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