大山縦走


小野

山岳会に入会してこれで大山は3度目。秋、初冬、そして今回。前回の「剣が峰往復」から少しずつ装備を整え念願の雪山だ。前回の例会でプラブーツが合わずひどい靴擦れになりそれから毎週ショップで修正し里山や芸北でためし履きをすること1ヶ月。うん、なんとか行けそうだと判断しギリギリで横山さんに参加の申し込みをした。

1月31日6時40分過ぎに元谷小屋を発った。外はまだうっすら暗い。元谷の堰堤の脇を通り緩い雪の斜面をトラバース気味に歩きながら安藤さんより雪上歩行の指南を受ける。尾根に向かいしばらく歩き景色が見える程度に明るくなった頃勾配が急になってきた。これが八合尾根の取り付きかなど考えながら暫く横山さんの 踏み跡に続き、慣れた頃選手交代しトップに立った。ルートに少し前の踏み跡を見つけては安心し何も考えずに登る私に横山さんは雪の尾根は選んで歩くのだと教えてくれた。その後は踏み跡を気にせず少しずつ歩きやすい尾根を選びながら高度を稼ぐ。
だんだん斜面が急になり下手っぴの私はスリップばかりになった。なかなか進まなくなった頃横山さんとトップ交代。そのまま暫く登り木の横で最初の休憩を取る。そこで雪上斜面ではピッケルでザックを固定し休憩することを覚えた。休憩後気を取り直してまた先頭に立つが雪面を上手く蹴り込むことができない。経験不足の新人がちょっとバテぎみになったところで安藤さんが見かねて交替、小気味良いリズムでぐんぐん高度を稼いでいく。先輩の踏み跡に続きながら自分はお粗末でリズムも悪いなぁと反省。
そんなこんなでよじ登っているとふと眼前に雪を被った岩が出てきたので、休憩がてら手前の小さなブッシュ帯でアイゼンを装着した。ふと時計を見るともう9時だ。頂上には何時着くのやらと思いながら岩場を左に巻いて行く。急斜面を這うように上っていくと15分後にはピークに出た。赤いポールがある、夏道だ、一安心し緩い斜面を歩くとすぐ8合目に到着し、そこから凍った板の道を歩き頂上小屋へ到着。小屋の中では知り合いのパーティ2,3組と和気藹々だ。見たこともない干し肉やチョコのお裾分けをもらい軽い食事を済ませる。
さて、休憩を終え縦走の準備をする際「え、ハーネス持って無い?」「はい、すみません」のやり取り。ちゃんと事前に不備を伝えていれば予備を用意して貰えたのに報告を忘れてしまっていた。これまた反省。とりあえず安藤さんのハーネス借りて装着する。10時過ぎ弥山の頂上碑で写真を取ったあと縦走開始、弥山を離れ剣が峰に向かい尾根伝いに歩いていく。歩きながら先輩方に雪庇の歩き方などを教えてもらう。しかし、だんだん尾根が細くなりアップダウンも出てくると一歩一歩が緊張の連続だ。いよいよ細い尾根に差し掛かったとき、先頭を行く横山さんが私を足下を見て大声で叫ぶ。アイゼンが緩んでいる。ゆっくりと前進して平らな場所で再度装着。事前チェックの甘さにまた反省。
体制を建て直したあとは淡々と縦走路を進む。途中ヒヤッとするようなトラバースもあったが雪が無いときに比べると恐怖は少なかった。大きなピークを通過した時、剣が峰かなと思ったが遭難碑が見えない(雪に埋もれていた)ので思い直し先に進む。と、象ヶ鼻あたりまで来て振り向いてみるとやはりあれが剣が峰だったと思い、雪が少ない頃とゆっくり見比べることができなかったのは少し残念であった。
もうここまで来るとユートピア小屋が見えている。楽しい縦走も終盤だ。ゆっくり下りユートピア小屋に12時ちょっと前に到着した。30分くらいの休憩ののち宝珠尾根より下山、14時には元谷小屋に到着した。小屋に帰り一息つくと横山さんが安藤さんに一言「今日もよう遊んだなぁ」。うーん、その一言に大きく頷く私。登攀組みが30分後小屋に到着しトイレが臭う小屋の中皆でティーパーティ。ゆっくり休んでから皆で大山寺へ向かう。靴擦れも無く最後まで足取りは軽かった。山岳会に入ったのはこれがやりたかったのかなと振り返りながらテクテクと歩く。沢山楽んで沢山勉強して、大満足の例会であった。

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