大山(大ノ沢右岸稜~一ノ沢右岸稜) (係)三谷


三谷

月日:3月17日(土)~18日(日)
参加者:吉村、島本

土曜日昼に広島を出発、大山に向かう。あれだけ寒い日が続いたのに、すでに春の陽気である。
溝口のマルゴーで買い出しを済ませ、時間が早いので、鬼守橋から正面に見える鬼住山に行ってみようということになった。
頂上まで車で上がれると聞いていたが、林道の入り口がわからない。貴住集落で農作業中におばあさんに聞いてようやくわかった。
曲がりくねった林道を上って行くと、峠にたどり着く。峠からは伯耆富士と呼ぶにふさわしい山容の大山がよく見える。

伯耆富士
伯耆富士

明日登るルートが一望できる。明日は大ノ沢の右岸稜を登り、一ノ沢の右岸稜を下る予定である。南西向きの斜面とあって雪はなさそうだ。
さらに判然としないまま走り続けると、鬼住山への標識があった。ここからは悪路をしばらく進むと、展望台駐車場に着いた。
頂上展望台からの眺望が素晴らしかった。桜の咲く時季はさらに趣が増すだろう。
せっかくなので、鬼住山の駐車場で一泊することにした。
翌朝、予定通り、桝水に向かう。国道に出るはずが、迷ったあげく岸本へ続く県道を通って桝水へ上がる道に出た。しかし、大山が見え隠れして、なかなか良いドライビングロードである。
桝水スキー場の冬期ゲートより環状道路を歩く。除雪は完了しており、道路に雪はない。
昨年、一ノ沢の右岸稜は登っているが、大ノ沢は今回が初めてである。大ノ沢の出合の堰堤を目指して、横手道に入っていく。
古い堰堤の脇に治山林道の跡が見られるが、最近は利用されていないようで、藪に覆われていた。
仕方が無いので、針葉樹の尾根を直登することにした。しばらく登ると、植生が広葉樹へと変化していく。広葉樹林では下草に覆われていて、藪を漕ぎながら登る。足下が定まらず、倒木も多く歩きにくい。
突然、大きなイノシシが走り去っていった。慌てて雪の斜面をかけ登っている。出会い頭にならなくて良かった。
大ノ沢への視界が開けてくると、キャラボクなどの低木帯になる。ルートを見極めないと、藪に阻まれて登ることができない。

大ノ沢右岸稜
大ノ沢右岸稜

あちこちに、笹を寝かしたベッドのようなものが作られている。周辺にはドングリが散乱していた。獣道のような踏み跡も付けられている。クマだろうか。後から聞いた話では、クマは大山にも出没することがあるが、棲息はしていないそうだ。野生動物の気配がするエリアだった。
森林限界を越えると、草地とガレとなる。深く侵食された大ノ沢の全容が露になってくる。遠く弓ヶ浜まで見渡せる。そして、頂上稜線付近は、時折ガスに覆われて、風が強まってくる。
頂上台地が近づいてくると、現在は廃道となった正面登山道と思われる登山道に合流する。その登山道に沿って登ると九合目辺り(石室手前)の雪原に出た。
木道を歩いて頂上小屋にたどり着く。数名の登山者が休んでいた。小屋で小休止したのち、ガスに覆われないうちに下降路を確認する。視界が晴れて風も弱まったので、尾根の頭から傾斜のある雪渓を下って、一ノ沢右岸稜の踏み跡に出る。

一ノ沢右岸稜
一ノ沢右岸稜

雪渓は落石の危険があるため避けた方が良い。一ノ沢側は崩壊が進み、所々踏み跡が寸断されているため、藪を漕ぎながら下っていく。
一ノ沢越しに烏ヶ山まで見渡すことができ、一ノ沢のドームが一際目立っている。時折がらがらと落石の音が聞こえる。
最後は治山林道に下り、大山環状道路に出ることができた。春の知らせに、小鳥たちのさえずりが賑やかであった。
南面の雪は沢筋にしか残っておらず、一足早い春山気分を味わうことができた。無雪期は斜面が浸食するのでおすすめはできないが、南面のバリエーションルートも、景色に変化があっておもしろい。