大山八合尾根


松林

2017年3月11日(土)~12日(日) 係:松林
参加者:吉村、三谷、川本
<アルバム>
<行動記録>
土曜日の朝に広島を出発し、溝口の丸合で買出しをして大山に入る。大山寺では月曜~火曜日にかけて15cm、木曜日に5cm程度の降雪があった。そしてこの土日は晴れだが気温が高め。というコンディション。旅館街内の参道にはまだ雪が残る。
15時半前に元谷小屋に着き、東側の樹林の外れで整地をしてテントを張る。それから八合尾根の取付きまでトレースを付けに、別山下部の尾根を登って行く。八合尾根には七合尾根から入ることが多いそうだが、今回は別山の尾根で高度を上げ、別山沢を挟んで八合尾根末端の灌木が疎らな場所の横まで付けて引き返す。

翌朝は少し出遅れたが、前日のトレースを辿って別山の尾根から別山沢を横断し、末端の灌木帯に入る。間もなく小さな岩壁の下に到着し、ロープの準備を始める。松林-川本パーティが先行し、15m程の幅の急斜面を左に横断し、支点が取れるブッシュ沿いに登る。急斜面だけにラッセルがしんどい。ブッシュ沿いを登ると、岩壁の際を通っていた、前日のものと思わしきトレースと合流し、さらに5~10m程登ってピッチを切り、川本くんを上げる。
リードを交替して先を任せる。丘のような緩斜面を登って行くと、50mロープがいっぱいになったので、ビレイを解除して数十m進んでもらい、セカンドビレイに切り替える。ビレイ点まで着くと、そこから先は痩せ尾根になっていた。尾根の右手、北西側は、ブッシュは多いが傾斜がきつく、雪が積み重なっていてブッシュには手が届かない。尾根の左手、南東側は、少し傾斜は緩いが、ブッシュは疎ら。定点ビレイは諦め、その疎らなブッシュを中間支点にして、コンテでトレースを辿ることにする。始めは係がトップで進んでいたが、ギアが切れたところで前後を交替する。
しばらく進むと幅の細い岩稜部に着き、トレースに沿って右斜面に踏み換える。岩稜部を巻くと先に小さな岩峰が見え、川本リードで登って行くが、「支点が取れない」と言う。係は上からビレイをしてもらって登ったが、岩の脆さといい、2枚ハーケンを打ちこんではいたが、その頼りなさといい、気味の悪い区間だった。以前聞いたことのある「岩峰は巻く」というのはどうやらここのことのようで、無駄なリスクを負ってしまった。そこから先には危険個所は無く、尾根の傾斜も緩くなり、間もなく夏山登山道の尾根に合流する。
八合尾根を見下ろすと、吉村-三谷パーティは尾根の真ん中あたりを登っている。我々と違い、全てスタカットで登っていて時間が掛かっているようだ。尾根の末端付近では別のパーティが登り始めているのが窺える。東寄りの風が冷たいので少し風下側に入って吉-三パーティを待った。2人が到着すると、一休みして小屋まで下り、テントを撤収して下山した。

三谷さんからは「コンテじゃ支点を作る練習にならん」と言われ、確かにそうなので返答の余地がないのだが、改めて今回の山行の意義を考えると、八合尾根や弥山尾根西稜は、難易度が低いものから順にステップアップするための山行だった。記録や結果、速さといった、見えるものを求め過ぎると、応用力や判断力、危機管理能力といった、欲している能力の向上を遅らせてしまうということを改めて考えさせられた。

(文:松林)

<コースタイム>
3/11
14:00 仁王茶屋 → 15:25 元谷小屋 16:00 → 別山尾根・標高1200m付近 → 元谷小屋
3/12
6:15 元谷小屋 → 7:00 八合尾根取付き → 10:00 夏山道合流点(松林・川本) → 12:20夏山道合流点(吉村・三谷) 12:45 → 13:15 行者尾根分岐 → 13:45 元谷小屋 14:15 → 15:10 仁王茶屋