大山の現状


名越實

今年は秋に遠征を予定しているので、9回の大山山行を計画したが、4回しか実行できなかった。
昨年の山行も参考にして(サブー)大山の現状をおつたえします。
まず屏風ですが、中央ルートの上部が大崩壊を起こして港ルートを破壊しています。今まで整備していた下部は様相が変わっています。特に3ピッチ目は岩雪崩がえぐってゴルジェ状になっています。
鏡ルートも上部は無くなっています。中央カンテは下部半ピッチがわずかに昔の姿をとどめていますが、ほとんど別人になってます。
左方カンテもしっかりしてたのに、こちらは下半部が全部剥がれてルートは消えています。
僕が作っていた一番左天狗沢側のルートも見事になくなってました。
大屏風は今一皮むけて別人になってますからすべてのルートは開拓時代に戻ってます。
次は別山。
バットレスから右は変化ありませんが、幻のカンテはその名のとおり崩壊を続けています。取り付きと2ピッチ目の右下の堅い部分にペツルのアンカーボルトを埋めてます。2ピッチ目はもうちょっと安定してからビレーポイントを設置しようと思ってます。
さて魔の天狗沢ですが、
上部の滝にビレーポイントがほしかったので、滝の取り付き左側壁にボルトを設置しました。今回雪が多かったので、シーズン始めに行くとやや遠いかもしれません。赤いテープを目印に付けています。
最後に三鈷峰の阿弥陀尾根です。
たいへんなことが判りました。
従来の取り付き部分は大きくえぐれて滝壺状になっています。ガンマールンゼ(一番左下の沢)を詰めると以前は何処でも登れましたが今はどこもメチャ難しい壁になってます。正面のルンゼが従来のルートですが、よく冷えた時に本気になって登れば半ピッチは何とかなるかも。でもその上部は登れないかも知れません。(上から覗いただけですから良くは判りませんが)左のルンゼは何とか登れますが、抜け出た所がまったくちがいます。以前の阿弥陀尾根コルのずっと下です。
よって、これからは阿弥陀尾根は三谷と神庭が間違えて取り付いたベータルンゼ(中宝珠越しから剱谷に下りて最初に見える正面の大きなルンゼ)から取り付くのが正解と思います。以前のコルの2ピッチ上のコルに出ますから、そのまま向こうの雪面に下りてもいいし、稜線沿いに気合いを入れてピナクルをのぼってもいいでしょう。
大山の壁は生き物です。毎年崩れて様相が変わってますから僕のアドバイスも役に立たないかもしれません。十分気を付けてのぼってください。

コメントを残す