冬合宿


楳村 英二

入会して約半年。九州育ちの私は、雪山に対してちょっとした憬れをもっていました。しかしながら、合宿前週の大山においてそんな思いを軽く打ち砕かれ、実は内心、少し心配しながらのスタートになりました。
12月29日PM7:00、SL含む呉team(黒川、田房、楳村)は黒川さんの車に便乗させていただき横川へ。合宿メンバーのみなさんと合流し、一路、新穂高温泉へ。道中、黒川さんの持ってこられたラテン系CD、中島さんの持ってこられたロック系CDにて鼓舞されるも、運転できない私はあえなく熟睡・・・。(毎度ながらすみません・・・) いくつかS.Aを過ぎ、気がつけば高山へ。道路わきの気温情報は‐11℃! わが目を疑う一瞬でした。新穂高温泉に着いたのは30日AM4:00頃。噂の豪華宿泊所にて就寝するも、仕事熱心なおじさんに起こされ早くも6:00に起床。次第に朝日を浴びて輝く峰々はいきなり素晴らしかった・・・。
その後パッキングした後、新穂高温泉を出発。本日の目的地は槍平、着々と歩を進めていきます。天気も良く、穂高平、白出沢出合とトレースもしっかりあり、とても歩きやすいです。と思ったのもつかの間、滝谷避難小屋へ向かう途中から私の苦難の道が始まりました。ザックの両脇につけたスキーの背が高いこと高いこと・・・。一応短い板であるものの、歩くのが下手な私は、いたるところで枝にひっかけ予想外に体力を奪われることに・・・。(コレ、槍平まで続きました。マイッタ・・・)後続のみなさん、ご迷惑おかけしました。
なんやかんやで滝谷出合に到着。夏、稜線付近を歩いた時は全く分からなかったのに、下から見上げるドームの迫力!スゴイです。小泓さんになんとかついていきつつ槍平に到着。さっそくテント設営です。外張の張り方、竹ペグの使い方等、学ぶことがたくさんありました。早々にテント内に入り、暖かい飲み物でしばし休憩。南風に変わり、明日は天候が崩れそうということで、スケジュール変更。明日はハードな行程になりそうですし、早めの食事、早めの就寝で体力回復です。夕食の角煮で疲れがぶっとびました。
31日、予想通りの曇り空。今日中に槍ヶ岳に登頂し、再びテン場に帰りつくためにも少し急がねばなりません。なにかと遅い私は、準備の素早い皆さんに追われるように出発、西尾根から大喰岳を目指します。途中、今回初めてトレースのないところに遭遇。ワカンを装着しラッセル開始。宝の木まで行くと、昨日幕営した人がいたためトレースがついていました。短かったけれどもやっぱりラッセルです、いい経験(いい運動?)になりました。その後、途中休憩を一本とり、稜線を目指しました。アイゼンをつけるころには、今まで経験したことのないような風が吹き、頂上では思わずふらつくほどの突風!「これが、これが3000mの稜線か!!!」嬉しいやらビックリやらで、なにやらにやりとしてしまいます。足元に注意を払いながら飛騨乗越を過ぎ、ついに槍の肩に到着、冬季小屋に入りました。天候は相変わらずですが、まだ頂上へトライできそうです。吉岡さんの判断の下、私は小泓さんにザイルを組んでいただき向かいました。先行するパーティの動きを見ながら、ついに登頂。3180mの頂は今までの疲労を全て忘れさせてくれました。とっさに懐に忍ばせたカメラでその様子をしっかり激写!。続いて下り、小泓さんのおっしゃるとおり、下りは難しく一歩一歩を慎重に進めます。肩の小屋についたときは一安心しました。大前さんが沸かしてくださった飲み物の染み渡ること染み渡ること・・・槍の頂の感動を再認識です。その後、天候が崩れる前に槍平へ。西鎌尾根を経由して一気に下り、1時間半でテン場まで到着。この早さには正直びっくり。とりあえずメインを終えて満足の一日、軽い疲労感の中、魔法の水と珍味に舌鼓をうたせていただきぐっすり横になりました。
元旦。4:00に起きた若者4人は、奥丸山に向けて出発です。予想外に天候がよく、外には雲がほとんど見えません。初日の出に期待しながら、ずんずん登ります。なかなかの急登に、若輩者の私は早くもバテてしまいましたが、あっという間に頂上へ。まだ日が昇る前の北アルプスの峰々は物静かにそびえていました。しだいに明るくなってくるなか、向こうに見える槍ヶ岳が橙色に染まってきました。続いて大キレットが輝きだし、キレットから初日の出が・・・。思わず拝んでしまうほどです!写真を乱撮した後、テン場へ。途中、黒川さんと中島さんの指導のもと滑落停止の練習を繰り返し下山。足場を壊してしまい、上部の後続パーティに随分迷惑を掛けてしまった模様・・・ごめんなさい。テン場に着いた後は、空いた時間を利用してスキーの練習。これがなかなか面白く、後ろ髪惹かれる思いでテントを撤収、いざ新穂高温泉へ。途中、相変わらずスキーを枝に引っ掛ける私は、後続の中島さんの頭上に何度も雪をプレゼント。(恐れ入ります・・・)白出沢出合よりスキー持参者は滑っていくことに。当然、私も林道をスキーで滑降・・・の予定が、スキー初心者の私が、そう上手くもいくはずがなく、数度に渡る転倒の末断念。歩き組みより30分も遅れた挙句、スキーを担いで登場。もはや立つ瀬なしです・・・。新穂高に着くと皆さん待ってくださっており、荷を撤収の後温泉へ。鏡を見て驚くハプニング(原因は、昨夜のテント内か・・・?)があったものの、どっぷりつかり疲れを癒させていただきました。4日間に渡る合宿、最後は高山のそばでしめ、一路広島へ。
初めての冬合宿、3000mの稜線、雪の槍ヶ岳を訪れることができたのは、ひとえにリーダーの吉岡さんを始め皆さんのおかげでした。体力的にも技術的にもまだまだ未熟な私を支えてくださり、大変感謝しています。この経験を下に、これからもどんどん登っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

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