冬合宿② 新穂高温泉~槍平~中崎尾根


吉村

12月28日(土)~12月31日(火) (リーダー) 吉村
参加者:安藤、平本、松林

<行動記録>
12月28日
朝8時に大町駅集合し車2台に合宿組と個人山行の名越さんとが分乗して出発した。「あら、名越さんどちらへ?」「あーちょっと横尾尾根に。トレースが無かったら、さっさと下山するけえ」
我々定着隊4名は、夕方7時を過ぎて暗くなった新穂高温泉駐車場にテントを張った。バスターミナルが改築中で、暖かい快適なトイレなどは解体されていた。
12月29日
7時前に駐車場を出発して、計画書を山岳警備隊詰所外のボックスに入れる。年末寒波の予報通り、昨晩から新雪が積もっている。入山者もいつもより少なめなのか、踏み固めたトレースではなかった。穂高平小屋は「今年は年末年始は閉鎖 小屋は冬期避難用に開放」の張紙がある。
雪の林道を歩き白出沢出合、滝谷避難小屋を過ぎると、山道になる。だんだんとツボ足では雪に足を取られるようになり、ワカンに履き換えたらしばらくして槍平小屋に着いた。出来れば今日のうちに中崎尾根に上がっておきたかったが、2時前になっていたので予定通り、ここにテントを張る。小屋の北側に雪を整地してテント場を作った。私は、以前水が取れた沢を探しに行く。雪が筋状に凹んでいるところを掘り下げる。掘っても、掘っても流れは出てこない。2.5m掘り下げてやっと水が見えてきた。しかし、深さ2.5mの雪穴は危険さえ感じる。雪を削り足場を作り完成。万一を考え松林君にスコップを持って穴のそばで待機してもらい、漸く7?の水を確保できた。テント場に帰ると誰もいない。「ここは以前の雪崩で人が埋まった所だ」の指摘を受けて変更していた。雪崩が有ったのは小屋の南側だったはずだが。

12月30日
今日は中崎尾根にテントを上げて、上部を偵察する予定なので、遅めの6時起床にした。奥丸山への急登に喘ぎ中崎尾根に上がると、一気に視界が開けてきた。風は寒いがそれほどでもない。中崎尾根の最上部の樹林が切れかけたところまで行き、テントを張る。4人全員がスコップを持っているので、ゆるい斜面の整地作業もスムースだ。立派なトイレも作りあげる。
明日のアタックのルートを偵察に出かける。降りてくる2パーティーに様子を聞くと、風が強く視界も効かないので、頂上をあきらめたと言う。千丈沢乗越への雪壁の急斜面は見るからに雪崩そうだ。事実、29日に東海山岳会のパーティーが、ここで雪崩に巻き込まれていた。
テントに帰った頃に、西風が東風に変わった。天気の急変が予想される。

12月31日
夜間に相当の降雪が有ったようで、寝ていてテントが狭くなってきた。朝、用足しに出ると、トレースやトイレは跡形もなくなっている。あの雪壁の雪崩を警戒して、頂上アタックは中止とした。テントを撤収していると、この雪の中ラッセルをして頂上へ向かうパーティーがいる。声をかけても何故か無言無表情である。お互いの安全を祈る。
テント場から飛騨沢まで、尾根が続いているので、ここを一気に下った。槍平小屋を経由して、新穂高温泉を目指す。途中、沢状の地形を横切る所では、雪崩を警戒して、一人ひとり分かれて通過した。16時前に駐車場に着き、合宿の登山行動を終了した。
結果として、槍ヶ岳の頂上を踏めなく、平本さん、松林君には冬の3,000mの稜線を経験することが出来なかったのは残念だった。しかし危険を予知回避して、無事帰って来ることを実地に学ぶ機会を体験する合宿となったかなと思う。

<コースタイム>
29日 05:00 起床、朝食06:55 駐車場→08:33 穂高平小屋→10:03 白出沢出合→10:13 蒲田富士への分岐→12:19 滝谷避難小屋→13:49 槍平小屋、幕営、夕食
30日 06:00 起床、朝食、テント撤収07:59 槍平小屋→12:20 中崎尾根幕営ポイント、テント設営→14:10 偵察移動→15:06 千丈沢乗越への急斜面の見える場所→15:55 幕営、夕食
31日 05:00 起床、朝食、テント撤収→09:48 移動開始→10:27 飛騨沢→11:31 槍平小屋→12:34 滝谷避難小屋→14:38 穂高平小屋→15:53 新穂高温泉登山者用駐車場

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