個人山行 雪上訓練(大山)


三谷

月日:3月5日(土)
参加者:安藤、松林、島本、川本
前原、三戸(会員外)
<行動記録>
安藤縦走会のメンバーと合同で雪上訓練を行った。
安藤縦走会では、会の活動方針として縦走形態の山行の実施を掲げられている。その中で、基本的な雪山技術を学びたいということで、合同で訓練を行うことになった。金曜日夜、それぞれが庄原西城の駐車場で合流して小宴を行った。
早朝、大山に向けて出発。仁王茶屋の駐車場で準備を行い、大神山神社に向かって歩く。初春とは言え、大神山神社の前にはまだ50cmくらいの積雪はある。
まず、大神山神社への凍った坂道で、キックステップによる登下降の練習を行った。傾斜は緩くとも、意識的にステップを切ることで歩行が安定するようになる。登りは、膝を支点にして、振り子のように雪面を蹴り込む。一方、下りは、膝をバネにして、かかとに体重を乗せて雪面を踏みつける。
登山口で、ビーコン作動チェック、ウェア・装備のチェックなど、入山前・入山時の一連のチェックを行う。ピッケルバンドは、リストとショルダー両方に着けることを推奨している。また冬はカッパではなく、滑り止めを施してあるヤッケ(ハードシェル)を着ること。さらに、ウェア・グローブのレイヤードなどなど。また、雪の斜面で、休憩する際の注意点を説明する。雪の斜面にバケツを掘って(または、ピッケルでカッティングして)、安定した場所を確保する。ザックが流失しないようにアンカーを取り、装着品には風で飛ばされないようにリーシュを着ける。
次に、宝珠尾根への分岐点である谷の出合いで、地形図で現在位置を確認しながら地形をチェックし、弱層テストを行う。スノーソーとスコップで雪を切り出して、コンプレッションテストを行う。今回は腕の力によって40cmくらいの層が切れ落ちた。無雪期は谷沿いを登路に選ぶが、狭い谷は周囲からの雪崩の危険性が高いため、雪質が不安定な場合は尾根を辿るようにする。この谷筋にも、破断面が見られることは少なくない。夏道をルートとして選択するという考えを排除する必要がある。
次に、斜面を利用して登下降の練習を行う。再度、キックステップの要領とピッケルワークについて説明する。柔らかくて不安定な雪の場合は、ピッケルのシャフトをしっかりと刺して支持力を得る。バックステップでの下りの場合も同様にする。前向きで下りる際は、リズムよく、ある程度スピード着けて下りると安定する。トラバースは、山側の足を蹴り込んで、谷側の足は支えとする。ピッケルは、山側が聞き手の場合は、シャフトを刺し、谷側が聞き手の場合は、石突を刺す。
次に、滑落停止の練習。雪の斜面では「滑らない」が基本であるが、滑った場合は初期制動、または、加速する前に制動をかける。「滑り出したら止まらないから練習は無駄」ではなく、形は覚えておく必要がある。ピッケルの持ち方(基本姿勢)と回転する方向などを説明する。尻餅、あるいは、前向きで滑った際の形をそれぞれ数回練習した。
意識して足を上げることによって、アイゼンの引っ掛けを防止するだけでなく、ピッケルの制動力が増す、
次に、リクエストがあったので、ナイフリッジの通過やトラバースする際のルート工作の模擬練習を行う。デモンストレーションで、松林くんが中間支点を取りながらロープを伸ばす。ロープをFIXして、後続が移動し、ラストが確保されながら移動する。ポイントは、振られ防止の中間支点、アンカーの作成、簡易確保の方法であった。
お昼になったので、昼食をとって、元谷に向かう。最後は、元谷小屋の先の斜面を使って、雪上での確保の練習を行った。まず、スノーアンカーを作成する。軟雪の場合は、スノーピケット(スノーバー)やピッケルを横向きにして埋めることで、高い支持力を得られる。スノーフルーク(デッドマン)も有効である。ポイントは、確保者とアンカーの位置関係、スリングを伸ばすための溝を掘ること。荷重をかけて、アンカーの強度を評価した。
次に、作成したアンカーで自己確保を行い、スタンディングアックスビレーとヒップアックスビレーを行った。アンカーがしっかりしている場合は、ボディービレー、支点ビレーでもかまわない。
15時に本日の訓練を終了した。島本さんは所用のため帰広される。
明日は天気が荒れる予報。風も強まってきた。六合目への移動を中止、安全を期して元谷小屋近くに、それぞれがキャンプの準備を進める。