個人山行 立山山岳スキー


吉岡好英

期間:2019年5月1日~6日
参加者:宮本、会員外:田中、小林、奈須
2019年5月GWは昨年に続いて立山の計画を立て、参加者を募ったら3名の申し込みがあった。リーダーは7年前から山岳スキーを共にしている田中君にお願いして、今回は危険指定区域に入る予定なので、事前に富山県に申請して登山(入山)許可を得ておく。
5月2日 19時30分頃、廿日市を出発。山陽自動車道は、ある程度の渋滞を覚悟していたが、幸いにもスピードを緩めることはあったが、翌朝4時頃に立山駅到着。
5月3日 すでに駅前の駐車場に空きは無く、早朝にもかかわらず係員が出て誘導してくれたところは立山カルデラ砂防博物館裏の駐車場。ここも駅から近いので助かった。車の中で6時まで仮眠。荷物を持って立山駅に移動すると、乗車券購入は一足先に来て栂池で楽しんだ後、立山駅に来ていた小林君が5時過ぎから並んでいた。このころから雨が激しくなってきた。多くの観光客でケーブルカー乗車は遅くなるのでは?と思ったが、8時20分の便で美女平へ、バスも待つことなく乗れた。雨も小降りとなり称名滝やハンノキ滝がよく見える。高原道路はの両側は次第に積雪が増えて、雪の大谷は16mの積雪。室堂バスターミナルに到着後、階段を上り3Fの出口に。扇沢から室堂に入った宮本君も到着して合流。雨も上がり、青空も見えだした。4月27日は吹雪で新雪は多いところで60cmくらいあったようで雷鳥沢で遭難もあった。立山連峰を見ると沢は雪崩だらけ。多くの観光客はみくりが池山荘までで、そこから先は静かであった。以前はテントを担いで雷鳥平にテントを張ったものだが、もうそんな元気はないので、今回も雷鳥沢ヒュッテにお世話になる。部屋に入り、一休みして足慣らしで雷鳥沢に向かう。標高2600m辺りまで登り、沢を横切り夏道沿いに滑降する。いつもなら雪面は黄砂などで汚れているが、雪質はこの時期としては最高!冬山?と思うほどの白さだ。野営場まで滑降して、雷鳥沢ヒュッテに帰る。

5月3日 今日の計画は大走りを登り、真砂沢を滑降して剱沢を登り返して剱御前小屋に泊まる予定であったが、先日の積雪を考えて、剱御前小屋にいるはずの警備隊に様子を聞くことにして出発。今回は体力不足を感じていたので春山の山岳スキーでは初めてアイゼンを持参していたので装着する。蹴り込まなくて良いので足の疲れはずいぶん減った。稜線まで上がると風が強い。油断するとふらつく。剱御前小屋で真砂沢などの様子を聞くと、やはり「雪崩れていると思われるので行かない方が良い」とのアドバイス。剱沢に変更して、明日予定している平蔵谷の確認のため滑降する前に「滑降は良いけど、登り返しを考えると時間がかかるので剱沢野営場辺りで止めて引き返す」と3人に告げておく。宮本君は平蔵谷手前で滑降を止めて引き返す。その頃には別山乗越まで帰っており無線で様子を聞く。田中君、小林君は平蔵谷出合を見過ごして長治郎沢出合まで滑降していた。いずれの谷も予想通り出合まで雪崩れておりデブリが見られた。剱御前小屋で暖をとり、外に出てしばらくすると宮本君が帰ってきた。さらに田中、小林両名も帰ってきた。さすがに若い人は元気だ。しばらく休んで雷鳥沢へ。小屋から50mくらいはガレ場なので板は持って下り、積雪があるところで滑降準備。最近は山岳スキーをする人が少なくなったのかシュプールが見当たらない斜面を、それぞれが雷鳥平野営場を目指し、標高差500mの滑降を楽しむ。ヒュッテに帰り、ヒュッテ前でドローンを飛ばして立山連峰を空撮する。夕食の頃、窓から夕日で赤く染まりくる立山を写真に収める。宮本君は暗くなった頃、外に出て満天の星空を撮影。

5月4日 平蔵谷の予定は山崎カールに変更。出る前にヒュッテの方に「今日は山崎カールを登り滑降する」と伝えておく。一ノ越から登るとカールの様子が分からないので雪の状態を見ながらカール下から登ることにして野営場でシールを装着する。アイスバーン状の上の積雪なのでデブリはいたるところに見られる。3人は傾斜がキツくなったところでシールからアイゼンに履き替えるが、まだアイゼンを使うほどでないとキックしながら登る。カール下で小休止して登り始めた時、ショルダーベルトに付けていたビデオカメラがないことに気づく。前を歩いていた3人にビデオカメラを探しに引き返すことを伝える。マッチ箱程度の大きさなので見つかることはないだろうと諦め、3人に追いつくよう急ぐ。カールに入った辺りで先に登った3人はカール中腹のデブリ上で動かない。休んでいるのかな?と思いつつ登るが動く様子は見られない。3人のうち、誰かの体調でも悪くなったのでは?と思いながらデブリの下辺りまで登ると小林君が下りてきた。「上から人が落ちてきたんです。警備隊には連絡済みで、宮本さんが声をかけています。声がけを止めると呼吸が止まるんです。」と言う。携帯で指示を仰ぐが「動かさないように」と言われるので見守るだけのようだ。ヘリコプターの飛来は1時間以上かかった。後から聞いたところによると、剱岳にも出動していたようだ。滑落者は雄山頂上直下から滑降したようだがスキーをアイスバーンで引っかけたのか滑落して岩に激突して、吹き飛ばされ3人の前に落ちてきたらしい。頂上の人も、その一部始終を見ており、後からFBに書き込んで様子を聞いてきた。
ヘリが飛来し、頭上で何やらスピーカーで言っているが回転音でかき消され何を言っているのか分からない。帰ってビデオ編集をしてみると「遭難者は手を振ってください」と言っているようだった。遭難者以外は少し離れた位置に移動していた。しばらくしてヘリも分かったようで遭難者近くに救助のため隊員が降りてきて、吊り上げる準備が整ってから
吊り上げ、ヘリに収容して帰って行った。今日の山崎カール滑降は頂上を諦め、この場所から引き返す。単独で登ってきた人も同じ行動をとり滑降していった。遭難者のスキー(片方だけ)は田中君が背負って雷鳥沢ヒュッテに帰る。「警備隊に持って帰ったスキーなどはヒュッテに預けてください、と言われました」とヒュッテで説明するが、朝出かけるとき「山崎カールに行く」と伝えていたので、ヒュッテの方は我々のグループの一人が遭難したのでは?と思ったらしく納得するまで時間を要した。宮本、小林両名は滑り足らないのか「大走りに行ってきます」と小休止の後、出かけていった。ドローンを飛ばし滑降してくる二人を撮るが、Wi-Fi では遠すぎて近寄れず、小さな点が動いているだけの映像だった。
夕方、後輩の奈須も雷鳥沢ヒュッテにやってきた。

5月5日 今日は最終日。宮本君は東一ノ越からタンボ平を滑りダムまで下り扇沢への予定。雷鳥沢野営場の先まで一緒に行動して別れる。3人と奈須は国見岳の予定なので、室堂バスターミナルへ向かう。さらに荷物は担いだまスキーにシールをつけて斜面を登って行く。奈須と僕はここで十分と国見岳頂上手前の広い場所で待機。田中、小林両名はアイゼンに履き替え、最後の細い尾根を登っていくと約30分で到着。二人が滑降開始したことを確認して我々二人も滑降開始。広い斜面を下り、国見岳から滑降の二人と合流してバスターミナルへ帰る。奈須は弥陀ヶ原まで滑ってくるという。もう2~3日楽しむらしい。
美女平へのバスは待つことなく乗れて予定より早く立山駅に下山。
今回は天気に恵まれましたが、入山前の積雪で雪崩が多く計画を変更せざるを得なかったが楽しい山岳スキーとなりました。
5月4日になくしたビデオカメラ(アクションカム)は後日、富山県警・上市署から連絡があり戻ってきました。名前を書いておいて良かった~。

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