個人山行 御在所岳・藤内壁


三谷

11月2日(土)~4日(月・祝)
参加者:吉村、保見、兼森

<行動記録>
以前から御在所岳の岩場に関心を持っており、11月の連休に、わがままを言わしてもらって、個人山行で御在所岳を登ってきた。
今年の夏合宿のプレ山行に、雪彦山にするか、御在所岳にするか検討した結果、結局は雪彦山のヒルクライムを選択した経緯もある(御在所岳もヒルが出るらしい)。夏合宿の反省と欲求不満の解消にと、少しばかり練習して臨んだ。
秋は気候がよく、登山やクライミングにはベストシーズンのはずが、今年は週末ごとに雨に見舞われた。この連休も気圧の谷が近づいてきており、悪天候を約束していた。中止も考えたが、わずかな晴れ間を期待して三重・鈴鹿へ。草津JCTから新名神道に入り、四日市インターチェンジを降りて鈴鹿に向かう。
御在所岳は、麓には温泉、頂上にはレジャー施設、頂上に向けてはロープウェイもあり、観光地としても有名である。
わずかなスペースに車を止めて、藤内小屋に続く裏登山道へ入る。なぜか合宿並みの大荷物を担いで、大汗をかきながら30分強歩くと、藤内小屋が見えてきた。藤内小屋は、2008年の土石流により倒壊したが、ボランティアによって復旧が進められて、今年より営業が再開されている。
明日は前尾根を登る予定にしている。登山道脇にテントを張らせてもらって、取り付きまでの下見に向かう。一般登山道を外れて、沢を横断し、正面に見える顕著な尾根を目指す。ガイドの概念図通り、練習岩を横切ると、p7への取り付き点が現れた。最新のトポにおいてノーマルルートは、正面のクラックをダイレクトに上がるが、下手なわれわれは易しいクラシックルートを登ることにした。明日は雨が降る前に早く抜けないと。暗くなり始めたので、下山を始める。
今晩は中華風鍋、歩荷した大量の食材を投入した。いつものようにお酒も進む。締めにラーメンをいただき満足したところで、就寝する。どうも沢の水が悪かったらしく、みんな腹を下し気味だ。鉄の胃を持つ兼森さん以外は。沢の水は一見きれいに見えるが、小屋でもらった方が無難かもしれない。

まだ薄暗い中取り付きに到着すると、早起きの京都女子隊は正面のクラックを果敢に挑戦している。かぶり気味の核心部で行き詰まっている。我々は準備をして待つが、寒いし時間がかかりそうなので、右のカンテ状を登り始める。オーダーは、保見さん-吉村さん、三谷-兼森さん。
保見さんのパーティーが視界から消えた頃、賑やかな若者二人が現れ、取り付きで先輩が後輩を指導している。ルートのことは熟知しているようで、登るペースは速い。
こちらはカメさんチーム、マイペースで行きたいので、先行してもらう。
p7とp6はいくつかの派生ルートがあり、クラック、チムニー、フェースとバリエーションに富んでいる。実力に応じてルートを選択すると良い。譲り合い精神でぐずぐずしていると、保見さんと吉村さんはつるべで、あっという間に見えなくなった。p6の有名なチムニーも、三倉岳のチムニーに比べればどうってことはない。岩の結晶は比較的大きく、フリクションもよく効く。ここは、昔からアルパインのゲレンデとしてもよく登られており、アイゼンで削れたスタンスができている。
左に見える一の壁もクライマーで賑わっている。1p程度だが、傾斜はきつく登り応えがありそうだ。
前尾根自体は、それほど難しくないが、プロテクションは自分で取らなければならない。キャメロットの3番くらいはあった方が良い。また、支点がとれないところもあり、たまに緊張を強いられる。
p6までは若干ルートがわかりづらく、所々歩かないといけないのがたまに傷だが、高度感はほどほどでなかなか楽しいルートである。何よりも景色がよく、山頂目指すプロセスを楽しむことがアルパインルートの醍醐味である。
迂回してきた京都女子隊に上部の様子を聞くと、どうもルートを見失ったらしい。まだ学生らしいが、マルチピッチのルートを初見で挑戦するのは勇気がある。若さの特権である。
我々もルートが判然しないので、支点を目指して登っていく。p5からはルートが明瞭になる。p5の傾斜の緩いスラブを登っていると、今度は物凄い勢いで登ってくるパーティーが見える。互いにロープは繋がっているようだが、確保していないぞ。このエリアを登るクライマーは、細かいルールにとらわれず、自由気ままに登っているという印象だ。まるで裏山の散歩気分。p4もⅡ級程度の易しい登りが続く。
p2の櫓には保見さんのパーティーが見える。やっとお互いが確認できる位置まできた。ほっと一息、兼森さんが、保見さんに手を振り、美しい紅葉に見とれながら、カメラのシャッターを切る。
p3手前に、クラックとチムニーがあり、ここが最後の核心である。先行パーティーはチムニーを超えていったが、私はクラックに行ってみた。キャメロットがしっかり効いているようだが、ちょっと奮闘気味で汗をかいた。未だに自分の思いっきりの悪さには、あきれてしまう。p3を超えたところで、ついに雨が落ちてきた。櫓を完登した吉村さん、保見さんは、満足げに降りてきた。こちらのパーティーは、p3で一応の登攀終了ということで握手。
p2とp3のコルから名古屋山の会の方々に案内されて、下山を始める。下山路は、沢状になって滑りやすく大変悪い。
テントに戻る頃には、小雨が振りだした。これからいったん下山して買い出しする予定だったが、朝まで雨が降るということなので、撤収して下山することにした。
最寄りの希望荘では、謎のケーブルカーで浴場に導かれる。お風呂に特徴はないが、湯の山温泉の湯なのでよく暖まった。
さて、雨の中にテントを張るのは、何だか気が進まない。屋根のある場所を求めてきょろきょろしていると、案外すんなり駐車場・トイレ付きの東屋を見つけることができた。スーパーで買い出しをして、例の東屋に。東屋は、板の間とテーブルのある土間で構成されていて、われわれの利用目的にはピッタリであった。秋の味覚のキノコ入り炊き込みご飯、焼き肉、野菜炒めなど、カロリーオーバー気味だったがおいしくいただいた。
ほろ酔いも手伝って、本日の反省会といろいろなパーティーと出会っての珍道中のことで盛り上がった。

夜は明けたがまだ雨が降っている。また、寒気をともなった強い風がふいている。
空の様子を見て、御在所岳に登ろうということになった。
8時を過ぎてやっと雨が上がったので、表登山口の駐車場まで移動する。
表登山道の傾斜はきついが、頂上までの最短ルートである。御在所岳全体の概念を把握するにはよいコースである。
寒気がやって来て、風が強く冷たい。
ここは中高年よりも、カラフルなウェアをまとった若者も多い。おじさん、おばさんのファッションもまぶしいばかり。さすが近畿・東海の都市圏に近いだけある。最新の登山ファッション事情を見た気がする。
紅葉の中にロープウェイの人工物(支柱)が新鮮である。森林限界を超えると奇岩を縫うように進む。やがて登山道を抜けると、展望台に続く広い道路に出る。スキー場のスロープを登りきると、頂上である。
頂上で絶景を眺めながら昼食をとった。ゆっくり休んで下山を始める。
アクセスに片道5時間は、小遠征とは言えないが、初めてのエリアは新鮮で楽しかった。

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