信用しよう、GPS!


吉岡 好英

 雪はたっぷりあり、スキーツアーにはベストコンディションだ。恒さんの発案によって今日の予定、ダイドコロ原コースを恐羅漢、旧羅漢、水越峠、十方林道を経て山小屋へのコースに変更してもらう。
恐羅漢頂上で記念写真を撮った後、山田(昌)さんは山小屋へと滑り降りる。今日の係りの竹本以下7名は旧羅漢へとフリートレックで進む。雪はしまっており、快適に滑る。旧羅漢への登りもスキーを履いたまま登りきる。頂上の大岩は雪で半分埋まっている。念のためGPSを十方山にセットしておく。皆が揃った頃から辺りはガスで視界がきかなくなってきた。そんな中、滑降開始。といっても潅木が多く、歩くと言う感じだ。初めは登山者のトレースを辿っていた恒さんだが、自分の勘?でどんどんとトレースから外れていった。しばらく進んだところでGPSで確認すると十方山は進行方向の真反対を指している。そのことを告げると「そんなことはないヨ」とさらに進んでいった。楢原のGPSも同じ方向を指しているのだが。「???」と思いつつもついて行くことにする。恒さんもおかしいことに気づいたのか、東寄りにトラバースをする。しばらくトラバースすると大前、吉岡、太尾田の3人と他の5人は離ればなれになってしまった。尾根らしきところからさらに下って行くと沢が現れ、恒さんは左岸寄りを一気に滑り降りて行った。ワシは右岸を滑り降りると太尾田もついて来た。下るにつれ険悪な状況となるが、引き返すのも面倒なので慎重に高度を下げていく。やっと斜度が緩くなったところで対岸を見ると恒さんの姿が確認できた。スノーブリッジを渡り、恒さんと合流する。少し下ると登山道?のためのリボンがぶら下がっている。それは対岸へと続いている。再びスノーブリッジを渡り、下って行くと林道らしき道に出ることができた。十方林道に出るための林道があった?と思いつつ、さらに下って行くと広い場所に出る。林道に出たようだ。正面には十方山らしき山も見える。十方山?が前に見えるのだから、川沿いに下れば二軒小屋に出るはずだ。下り始めてすぐに大きな淵が現れる。こんなところに淵があった?と思いながら下っていく。ん?何で橋が?十方林道の水越峠と二軒小屋の間には橋なんかないぞ。間違っていることが確定してしまった。ここでGPSを出して恐羅漢山をセットすると、案の定恐羅漢山は反対方向を指している。今度こそGPSの指す方向を信頼して、引き返す。先ほどの道が合流した地点でしばらく5人を待ってみるが下りてこない。30分くらいは待ってみるが人影は見えない。「アイツ等は迷ったのでは?」と心配しつつ、我々の進行方向の矢印を雪の上に残して、その場所を後にする。しばらく歩くと、以前見たような場所を通過する。前を見ると雪の中から“広見山登山口”の標識が。「なんで?」 恒さんは「これで現在地が分かった」と言っている。あとは旧羅漢山へのルートを辿るだけだ。林道終点からは夏道に踏み入れるが、つぼ足ではあまりにも埋まり、思うように進めない。「恒さん、稜線を歩こうやー」で稜線へ。稜線に出るとザックにつけている板が枝木に引っかかりるのでフリートレックを履く。稜線をしばらく登ると緩斜面で、ブナ林のきれいな場所に出た。「いつかはここを滑りたいのー」などと言いながら先を急ぐ。太尾田の携帯が使える状態になったので、山小屋に置いてある恒さんの携帯にコールしてみる。何とか連絡がとれ、はぐれたメンバー5人がちょうど山小屋に帰って来たところだった。これで一安心だ。恐羅漢~旧羅漢への稜線に出ると今朝歩いたトレースに出る。恐羅漢山へ、腹のへった身体に鞭打ちながら歩く。恐羅漢山頂上で腹ごしらえして、カヤバタから一気に山小屋へと滑り降りる。
それにしても今日はよく歩き(滑り)ました。
恒さん、GPS信用しよう! アンタの勘より確かヨ!

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