九重連山 (係)三谷


平治犬

2018年7月14日(土)~16日(月・祝)

参加者:横山、吉村
西日本豪雨から1週間が経った。都市間を結ぶ主要道路の応急処置が施され、やっと本格的な復旧作業が始まったという状況である。
山陽道(上り線)が不通のため、例会の中止も検討したが、別の提案がされたので、山岳会としてできる活動をしようと考えた。予定していた行き先を加賀白山から九州の九重連山に変更する。
土曜日朝、廿日市で吉村さん、横山さんを拾って山陽道に乗る。依然として通行止めの箇所が多く、高速道の利用者が増えたせいか、交通量は多く所々渋滞していた。
関門海峡を渡り九州へ入る。大分道では災害のため一部通行止めになっていたが、それ以外は高速道を使って湯布院までダイレクトに入ることができた。
由布岳の威容を眺めながら長者原へ。1000mの高原とは言え、暑さは厳しい。タデ湿原を抜けたところに登山ポストがある。計画書を提出。
坊ガツルまでの約2時間の道のりを歩く。樹林帯なので強い日差しは遮られるが、風が通らないため息苦しいほどの熱気である。
それでも、豊かな森や湧き水をたたえる湿原、花、鳥の鳴き声に気持ちを癒やされる。
緩やかに登っていくと、突然、眼の前に坊ガツルの草原が広がる。湿地の生態系を守る目的に、「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」として、ラムサール条約に登録されている。
すでにたくさんのテントが張られている。ターフやチェアなどを持ち込んで、それぞれのスタイルでくつろいでいた。気が向けば周辺の山を登る。
我々も景色の良い場所を選んでテントを張る。水場、トイレがあり、九州の岳人にとってのベースキャンプである。
各自が持ち込んだビールで乾杯。今晩は、シンプルな味付けの塩焼きそばを作って食べる。
満天の星空だった。日が長いので、9時を過ぎないと星がキレイに見えない。

坊ガツルの夜
坊ガツルの夜

翌日、涼しいうちに行動しようと、早めに発つ。北アルプスの涸沢などと違って、登山者の活動開始は遅めのようだ。
本日は坊ガツルより見えていた三俣山に登り、九重連山を周遊する予定にしていた。
まずは、法華院温泉の中を通り抜けてスガモリ越を目指す。谷筋の道は地熱の影響で蒸し暑く、早くも熱中症の危険を感じる。オーバーヒートしないように、ゆっくり目のペースで登る。
石室で小休止して三俣山を目指す。どこから眺めても3つの峰が見えることからこの名がつけられている。

植生がまばらになり、火山礫が目立つようになる。徐々に日が高くなり強い日差しを浴びる。しかし、時折弱い風が吹いて体を冷やしてくれる。
遮るものがない頂上からの展望は素晴らしかった。
スガモリ越に戻り、石室の日陰に逃げ込む。徐々に登山者が増えてきた。
そして、砂礫の平原を抜けて久住別れへ。九重連山の中核を目指す。無風快晴であるが、登山するには暑さが厳しくなってきた。
九重別れは、各登山コースの中継地点である。若者やファミリーで賑わう。
避難小屋の前はすでに炎天下となっている。木陰もなく、登山者は心なしかぐったりしている。
ここには柴犬を連れた登山者が多い。犬も熱中症気味である。
続いて、星生山(ほっしょうざん)を目指す。山名は仏教語の法性(ほっしょう)に由来する。この山が霊山として栄えていたことを表している。
牧ノ戸峠から容易にアクセスできるため、軽装の登山者や子連れファミリーも多い。
この山も火山岩に覆われた個性的な山。尾根コースをとらず、トラバースコースへ。池塘を伴った湿原の脇を稜線に向けて登る。頂上からは、噴煙が立ち上る硫黄山や九重主峰を見渡せた。

星生山より
星生山より

昼前になると、気温が30℃に迫る勢いで上昇する。熱中症の危険が高まったので、九重本峰を残し、ここで周遊を終了する。
暑さに耐えながら法華院温泉へ。温泉で汗を流し、しばし休憩所でくつろぐ。登山後のビールは身に染みる。ほとんどの人がビールを片手に持っている。このようなオアシスがあることに九州の岳人がうらやましい。法華院温泉の前にもテントを張ることができる。
坊ガツルのテント場は日が照って暑いため、休憩所に食材を持ち込んで食事を済ませる。
日が沈む頃を見計らってテントに戻る。隣テントの往年の岳人夫婦の話を聞きながら夕暮れ時を楽しむ。
今夜も星空を眺めて今回の山行の余韻に浸る。
翌朝、暑くならないうちに坊ガツルをあとにする。広島では連日猛暑が続いているが、それなりに快適に過ごすことができた。
道の駅で土産物を求めて広島に向かう。九重の自然を楽しむことができ、良い山行だった。

<コースタイム>
7/14 長者原登山口13:30→15:00雨ヶ池越→16:00坊ガツル
7/15 泊地5:30→6:30スガモリ越→7:30三俣山本峰→8:20スガモリ越→10:30星生山→法華院温泉13:00
7/16 坊ガツル5:20→7:30長者原登山口

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