雪彦山クライミング(個人山行)


松林

2017年4月1日(土) L:松林
参加者:元廣、島本、川本
<アルバム>
 近年、我が会で登竜門のような存在となっている雪彦山の地蔵岳東稜と三峰東稜。川本くんにはステップアップのために、また、なかなか機会に恵まれて来なかった島本さんにもこの2本を登る機会を与えたい。という思いでこのクライミングを実行できる日を検討していた。通年ではこの時期にゲレンデ以外でのクライミングの準備は整えていないが、今回は難しいルートではないこと。各自ある程度のリハビリトレーニングができていること。また元廣さんと松林がこのルートは2回目、3回目である。という要素があった。しかし、2日間の休みがなかなか取れないため、今までは2日に分けて登っていた2本を前夜発日帰りで登ることにした。
 前日の金曜日は予想に反して本降りとなった。雪彦山での降水量は推定2mm前後。気温が低いのでそのうちの何割かが雪となっているはずだが、「行ってみないと分からないし、1本でも登れれば。」と、流紋岩の乾き易さに賭けて、予定通り向かうことにした。
<行動記録>
 金曜日の22時前、小谷SAで4人が合流し、山陽道を東へ向かう。福石PA泊を吉備SAに変更するが、翌朝の起床時間の設定と3人分のカップラーメンの時間の見積もりを誤り、30分のロスとなる。最低限、車中で食べるようにしておくべきだった。
 賀野神社に6時半過ぎに着き、トイレを済ませ、いつもの展望台前の入山口へ向かうが、数十メートル進むと、「この先の○○町に故障車があるため林道を閉鎖しています」との注意書きと黄色いテープが張られており、賀野神社に引き返して車を停め、装備を準備して歩いて入山口へ向かう。意外と距離は短く、300メートルくらいだった。
 入山して地蔵岳の正面壁前に出て、左にトラバースして三峰東稜の取付きに到着。地蔵岳、三峰とも正面壁は部分的には濡れていたが、三峰東稜は、前日雨が降ったことが分からない程に乾いている。
 装備の準備をして元廣さんリードのアラフィフパーティからスタートする。序盤からアブミを駆使して登って行くが、「手がすごく冷たい。懐炉を忘れた。」と苦しそうな声。稀な超低温日で、この時推定2~4℃。足先もものすごく冷たい。30分前後で抜け、島本さんの番に。「当分アブミはやっていない」と言っていたが、寒さに耐えながら登ってくれた。
 アラサーパーティは川本リードでスタート。この日は彼の成長のために全てリードしてもらう。一つ一つの支点を確実に処理し、人工の区間を等ペースで進んで抜ける。こちらは足先が冷たいので足踏みをしながらビレイ。こんなに辛いのは初めてだ。松林の番になり、手先の冷え対策として作業ゴム手袋で挑むが、壁の傾斜がキツくガバを掴んでも手が滑るので、最初からヌンチャクを掴む。「ひょっとして全部いけるかも?」という思いが脳裏に浮かび、全てA0で抜ける。ボルトには手が届きそうにない支点もあったので、リードでは全てA0は難しいかもしれないが、リーチの長い方は挑戦してみると良いと思う。
 人工の区間を抜けると陽なたに出て急に暖かくなる。前に追い付いて少し待ち、再び川本リードで2ピッチ目を登る。前のパーティと同じところを登れば良いものの、途中のフェースから左上して垂壁を登ろうとするので、「そこで時間が掛かるなら降りろ」と言うと、しばらく感触を確かめてから、残置のビナを使って途中まで戻って来た。今日は良く分からない厳しそうなところを登りに来たのではないのだ。
 3ピッチ目は一段上の棚から右に体を振ってカンテに乗り込む瞬間が気持ち良い。後は階段状の岩棚を、木登りを交えながら登り、終了点へ。ロープを片付けて頂上まで少し歩く。
 短時間で食料を補給し、懸垂下降のロープをセットする。1本目を下り、不行岳の基部をトラバースして、2本目のセットは先に下りたアラフィフパーティに任せる。ここでロープの回収があるためパーティの順番を入れ替えて、アラサーパーティが先に下りる。この沢沿いの下降路は滑り易く、慎重に下る。もう少しFIXロープが欲しいところである。

 地蔵岳東稜の取付きに着き、食料を補給しながら準備をして、川本リードでスタート。1ピッチ目は見易いが、左寄りにルートを取ると、最後のところで急に核心部が出て来て少し緊張する。終了点はペツルのハンガーボルト1つ。「支点が遠くて怖かった。」と川本くんからこんな言葉を聞いたのは初めてだ。2ピッチ目は大テラスを通過して左上する。中間支点の取り方で考え過ぎて時間を使う。「最後は立木で取れば良い」と言ったが、結局チムニーの真下のペツルのボルトまでロープが届いた。
 3ピッチ目のチムニーは難しくはないが、カムをセットするのに奥に体を入れるのが窮屈だ。カムをセットすると、外側に体を出して上へと上がって行く。階段状のフェースを登って立ち木まで延ばす。ビレイをしているとアラフィフパーティが追い付いて来てしばらく待機していたが、不行沢側から吹き付ける風が強く、ここで体を冷やしたようだ。
3ピッチ目の終わりからはコンテでいくらか歩き、馬の背と呼ばれる4ピッチ目となる。この辺りは脆い岩もあり、東稜下部の茶色い穴ぼこの多いスラブとは岩質が全く異なる。遭難碑を通過し、難なくピークに到着。鞍部まで少し歩く。ここで16時半、何とか登れそうだ。
 5ピッチ目は、前回、トラバースを交えながら右上した記憶があったが、どこから登ったのか記憶が曖昧だったため、元廣さんが上がって来てから聞いてみると、「立ち木下の見易いクラックを上がってから右トラバースして右上」だった。とりあえず立木のある棚まで登り、川本くんの行きたいように任せた。トラバースせずに残置ハーケンとカムで支点を取り、右上後、直角に折れて左上。また大きく折れて右上して終了点へ着いた。残置ハーケンとカムが近くてZクリップになっているし(近過ぎてビナが重なりロープは流れたが)、左右に2回も大きく折れたのでロープがなかなか上がらない。終盤で集中力が切れていたようだ。後続パーティをかなり待たせてしまったが、無事に頂上に辿り着いた。
 頂上で記念撮影し、足早に下山する。途中、濡れた岩やFIXロープのある箇所を通過し、「やっぱり雪彦のアプローチは悪いな。」と元廣さんの感想。沢を2回渡り、緩くトラバース気味に下る。最後で杉林に入り急に暗くなったので、ヘッドランプを出すが、3分で展望台前の入山口に到着。

 前日の雨と低温で遂行が危ぶまれたが、皆満足してくれたので決行して良かった。地蔵岳東稜は初級者向けで楽しめる好ルート。三倉岳中ノ岳ノーマルよりは見易い。メンバーには事前にこの山行の趣旨をメールで伝えていたはずなのだが、帰りの車中で川本くんが「松林さんは3回も来るなんて、よっぽど雪彦山が好きなんですね。」と相変わらずの“モンスター新人”らしさを発揮してくれた。ちゃんと人のメールを読みましょう。
(文:松林)

<コースタイム>
06:35賀野神社7:14-7:45三峰東稜取付
先行パーティ(元廣-島本)8:20-11:30[元廣リード(1P、2P)島本リード3P]
後行パーティ(松林-川本)8:55-11:50[川本オールリード]
三峰頂上12:16-(懸垂下降2回を交えて取付きへ)13:00地蔵岳東稜取付
先行パーティ(松林-川本)13:15-17:10[川本オールリード]
後行パーティ(元廣-島本)13:46-17:40[島本リード(1P、3P)元廣リード(2P、4P、5P)]
地蔵岳頂上18:05-18:47賀野神社
(記録:島本)

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