奥秩父 笛吹川東沢本流 ホラの貝ゴルジュ遡行


宮本 博夫

日程:2014年9月6日
参加者:松林、宮本、宇田(会員外)
←ホラの貝ゴルジュ核心
<行動記録>
3本目です。東沢流域は遡行価値の高い沢の宝庫であり、今までに何度も訪れている。上流域の代表的沢コースである釜の沢、東の滑沢、西の滑沢などに行くにはホラの貝ゴルジュを旧登山道で巻いていき、何度も上からゴルジュを眺め「もの凄いところだなあ」といつも関心していた。東沢では登攀要素がかなり強い乙女沢や東御築江沢を除けば、このゴルジュの遡行が実質的に最後の課題となっていた。この夏は丹波川本流を遡行したので弾みがつき、ホラの貝に挑戦してみようという気になった次第である。丹波川本流は中島君の泳ぎのおかげで突破できた訳であるが、とても寒かったらしいのと本来の沢登りではないのでどうも、ということで中島君はパス。私の手におえるのか多少不安に思いつつも山行日を迎える。この夏は残暑が数日で終了し、当初予定日の8月末は天気も悪く気温も低く、とてもじゃないが泳ぎ沢は無理で翌週に延期。そのため坂口さんが参加できなくなった。今日は多少暑さが戻ったがそれでも下界の甲府がやっと30度くらい。甲府は暑い日には40度近くなるところでそんな日に遡行したかったのだが。東沢は標高1200mほどあるのでどんだけ寒いのか。(心配したが、上下カッパ装着の結果、それほど問題はなかった)

遥々愛知県から参加の松林君と現地で初対面。西沢渓谷登山口に駐車し出発。西沢方面と別れて東沢に入り、鶏冠谷出合いで沢装備を着ける。本来はここから本流を進み、魚留滝の登攀、長い淵の泳ぎ2か所等があるのだが、ホラの貝ゴルジュに着くまでに寒さで戦意喪失してしまう恐れがあったので、下流部は旧登山道で巻き、ホラの貝を先に登ってから帰りは下流部を下ろうという作戦とした。
そして念願のホラの貝ゴルジュ突入。最初の青い淵を泳ぐとホラの貝の由縁と思われる大きく深~くえぐれた大空間に入る。その先の4m滝が核心、えぐれた釜の側壁をアブミトラバースするルート。取り付き点から観察するがピンが見当たらない、果たして行けるのか? 出だしからツルツルで悪いが少し進むと残置ハーケン発見。しかし次までが遠い。アブミに乗ったままでは次に届かないので、アブミで休んでシュリンゲを伸ばして次のピンを目指す。2本目と3本目の間がかなり遠い。スカイフック+アブミの出番とするが岩に思ったようにかからず、仕方なく折れたボルトの頭にフックをかける羽目に。ここはおっかなかった。何とか進んで3本目と4本目のピンにもシュリンゲをセットし、無事滝上に出てロープを固定する。
2番手の宇田さん、出だしのツルツル部分に苦労している。どうも彼の靴底は使用限界にきているようだった。私は今日はゴム底靴(アクアステルス)を履いてきたのだが、ここの岩はよく磨かれて苔が少ないので相性ばっちりでツルツル部分も比較的楽に通過できた。宇田さんには厳しいなと思っていたら、滑落しぶら下がってしまう。どうやって脱出させようかと思ってたら松林君がロープ後端を引くことで無事元に復帰できた。宇田さんはこのルートは厳しいとのことで、後から釜を泳いでもらい引き上げることにして、松林君にランニングビレイの回収を委ねる。彼はそつなく無事に通過し、ランニングも回収。さて、宇田さんには釜に入ってもらい、アブミ(4つ連結)を登ってもらうことにしたのだがなかなか登ってこない。瀑水をかぶっているので、もしや低体温に陥っているんじゃないかと心配になったが、何とか登り始めた。後で聞いたらアブミが釜の中でぐるぐる巻きになって足を入れられず、手だけで登ろうとしたけど無理でぐるぐる巻きを直すのに手間取ったとのこと。そうとは知らなかったが一度アブミを引き上げてぐるぐる巻きを直してあげればよかった。この4m滝の通過には2時間もかかってしまった。
次は幅1mくらいに狭まったゴルジュの通過。ここは淵を泳いでから流れの早いゴルジュ内に突っ込んで、突っ張りで通過する作戦。宮本が2回トライするものの押し戻されてうまくゴルジュ内に入り込めない。宇田さんに選手交代。宇田さんも押し戻されたが対岸からうまく回り込んでゴルジュ内に突入し見事に突破。後続二人はロープ頼りに楽々通過。これで難所は通過できた。
その次は2mもない滑滝。宇田さん、松林君、取りつけずに宮本に交代。反対側からあっさり登れ、二人を引き上げる。ここで一息つけるが休むと寒くなるのでそのまま遡行を続ける。この先も釜と滑滝が続き、ウォータースライダーと言われるよく磨かれた滑滝?があり、緊張感も解けてとても楽しいところだった。この先で河原となり旧登山道が合流、大休止とする。そこには青く美しい大プールがあって水泳を楽しんだ。(宮本だけ)
休憩後旧登山道を通ってホラの貝ゴルジュ入口に戻るが10分とかからない。わずかな距離を何時間も楽しんでしまった。もうすっかり満腹になってしまい、当初予定の下流部の下降も取り止めて、下山した。

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